I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
凛子を初めて抱いた昼下がり
今思い出してみたって、それはもう控えめに言って最高だった。
凛子の
紅潮した頬と白く照らし出された柔肌も、
照れながらも俺を求め続ける濡れた瞳も、
薔薇色の唇から零れ落ちた吐息まじりの甘い声も……
それら全て、俺をひどく昂らせるには十分すぎるほどの破壊力。
正直言って、理性を最後まで保てた俺は心底すげぇと思う。
うん、よく耐えた、俺。なんて。
脳裏にまだ新しく蘇る記憶の数々に頬を緩めながら、そんなことを考えていれば、
「…いてっ」
針で指を刺した。
我ながら笑えるな、なんて苦笑していれば、前方から視線を感じる。
ふと目線を上げれば、こちらをジト目で見つめている藍沢さんと瞳があった。
「ハハッ。藍沢さん、今日も俺の顔に何か言いたげだネ。」
そう言って俺が頬を掻けば、
「…何があったか知りませんけど、大方凛子さん絡みで良い事でもあったんだろうなぁって思って。」
やれやれ、顔に出すぎで胸やけするったら何とか、なんて。
溜息交じりにまたミシンをカタカタと動かし始めた藍沢さん。
何だかこんな会話も最近じゃ俺達の定番の会話になりつつある。
平和だなぁ、なんて。
俺はそんな他愛ない会話に一人頬を緩めた。