I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
何故かここぞとばかりに引っ付き虫と化したタカちゃん。
そんなタカちゃんのことを愛しく思いつつ、リビングのソファに座らせれば、期待に満ちた綺麗な紫色の瞳がこちらをジィ―ッと見つめた。
こうやってみると、この大きくてトロンとした瞳は感情の色が見えやすいんだよなぁ、なんて私は笑みを一つ溢す。
「…はい、ハッピーバレンタイン!」
丁寧に包装した包みを手渡せば、タカちゃんは「おー!めっちゃ嬉しいわ。ありがとな!」なんて言って持ち前の眩しい笑顔でニカッと笑った。
タカちゃんが包装紙を開ければ、可愛らしいサイズのトリュフとハート形のクランチチョコが顔を覗かせる。
「…すげぇな、売ってるヤツみてぇ。…つーか俺、いっつも思うけど、凛子ってやっぱ手先器用だよな。」
おー…なんて言ってそれらを色んな角度から眺めて、嬉しそうに瞳を輝かせるタカちゃん。
そんなタカちゃんの喜ぶ姿に、私もまた微笑みを一つ。
「…へへっ、タカちゃんほどじゃないよ。…味も大丈夫だと思うんだけど…食べてみて?何か飲み物注いで来るね、紅茶で良い?」
「オウ!…これ、何から手つけるか迷うな。」
私がそう言って席を立てば、タカちゃんはまた嬉しそうに笑っていた。
キッチンに立って、ティーバッグをいれたマグカップにお湯を注ぐ。
コポコポ…と小さな音を聞いていれば、リビングの方からカシャッとシャッター音が響いた。
チラリとそちらを伺えば、渡したチョコに携帯をかざしては「…よし」なんて言って微笑んでるタカちゃんの姿。
私は頬を緩めると、先日の柚葉ちゃんとの会話を思い出す。
『 …何か最近よく思うんだけどさ、タカちゃんって写真撮るのすごい好きじゃない? 』
『 ……へえ、三ツ谷が? 例えば?』
『 んー、ご飯の写真とかもよく撮ってるし、新しい服着ると ” その服いいな ” とか言いながら写真に納めようとしてくるし……ってなんでそんなニヤニヤしてるの、柚葉ちゃん。 』
『 いや…三ツ谷の溺愛ぶりも変わんねぇんだなって思って。』
柚葉ちゃんはそう言うとクスクスと口元に綺麗な指先を沿えて『ウケる』なんて言って笑った。
『え。』
私が予想外のことに、ぽかんと口を開ければ、
『凛子ちゃん、三ツ谷のカメラロール見たことある?』
なんて柚葉ちゃんが可笑しそうに口を開いた。