I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
そうして俺はどのくらい眠っていたんだろう。
まだ少し重たい瞼を開ければ、まだキッチンに立って後片付けでもしているらしい凛子の姿が瞳に映った。
大きな欠伸を一つして、グッと背中を伸ばせば、凛子の柔らかそうな頬に溶けたチョコレートらしきものが付着しているのに気が付く。
「…あれ、これってまさか……」
なんて、馬鹿な考えが脳裏に浮かんだ。
偶然の産物にせよ、ムクムクと湧き上がる下心。
甘い香りに誘われたミツバチのように、俺は凛子の元へとゆっくりと足を進めた。
「……凛子。どお?そろそろ出来た?」
なんて。
背後から華奢な凛子の身体を抱きすくめれば、「…ひゃっ?!」なんて凛子の間抜けな声が響いた。
寝起きの俺にはそれさえも可愛らしく聴こえて、俺は、凛子の髪の毛の隙間から覗く真っ白なうなじにそっと口付けた。
そうすれば、「…んっ」なんて甘い吐息を漏らす凛子。
そんな凛子の反応に気分をよくした俺は、凛子の頬についたチョコレートをぺろりと舐め上げた。
「…!?」
そうすれば顔を真っ赤に染めてこちらを驚いたように見上げる凛子。
「……ん、味見。やっぱ甘ぇな。」
そう言って微笑めば、「…タカちゃん、ずるいよ。」なんて凛子は照れたようで前を向いてしまう。
「…凛子、すきだよ。」
俺がそう言って、凛子の首元に顔を埋めれば、凛子からも「…うん、私もだいすき。」なんて小さな声が聴こえて。
俺はゆっくりと凛子の香りを身体中に吸い込むと、ひどく幸せな感情に頬を緩めた。
「……タカちゃん、もう少しで片付けまで終わるからあっちで待ってて?」
「…んーそれは無理。俺、今、凛子充電中。」
「……もう……綺麗なニット、濡れちゃっても知らないからね!」
今日は待ちに待った、せっかくの2人きりの時間なんだから。
どうか、周りが呆れるほど君を愛するのを許してほしい。
俺はそんなことを考えては、また頬を緩めるのだった。