I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
もっと凛子のことが知りたいと、ドクンッ…ドクンッ…と逸る俺の鼓動。
凛子の透き通るような瞳を射るようにジッと見つめていれば、
「…あ~、凛子ちゃんのこと虐めてるー!」
「イジメ、ダメ、絶対!」
なんて、背後でまだ幼さの残る2人の声が響いた。
俺は2人の顔を振り返ることなく、「…はぁ~~~~~~ッ」と盛大に溜息を漏らすと、額を凛子の肩にガクッと沈ませた。
ルナマナの視線もあったせいか、そんな俺の様子に凛子はぎょっとした様子で肩を強張らせたけど、そんなん今は知ったこっちゃねぇ。
「…ルナ、マナ。兄ちゃんと凛子ちゃんは、見ての通り、今すんげぇお取り込み中なんだけど……今日ばっかりは見逃してくんねぇかな?」
「…お取り込み中?」
「新しい遊び?」
空気を読んでどこかに行くという芸当をまだ知らない妹達。
いや、それはそれで健全に育ってくれてて何よりなんだけれども、やっぱり深く零れてしまう溜息。
俺はそんな深い溜息を飲み込むと、
「ハハッ、やっぱお前らはまだ知らなくていーや。」
なんて言って、苦笑を漏らす。
「……さてと、今日は寝る前に何読んでやろうか?」
そう言って、泣く泣く凛子の元を離れて、妹2人の元へと向かえば、「親指姫!」「マナ!!!今日はルナが決める日でしょ!今日は眠り姫って決めてるの!」なんて、睨み合う2人。
「ハハッ、どっちも読んでやるから喧嘩すんなって。」
「「ほんと?」」
「オウ、2人がちゃんと部屋のオモチャの片づけ出来たらな!」
そう言って笑えば、瞳を輝かせて足早に寝室へと去っていく2人。
そんな妹達の後ろ姿に眉を下げれば、後ろから、キュッと抱きしめられる感覚。
ふわりと控えめに香る凛子特有の優しい香りと、背中にダイレクトに感じる柔らかなソレ。
一度落ち着いたと思われた俺の心臓は、再びドクンッと震えた。
「……タカちゃん、私ね……タカちゃんにだったら、どんな事されたって構わないと思ってるよ?」
…じゃ、じゃあ、おやすみ!なんて、凛子はそれだけ言い残すと、真っ赤な耳を髪の隙間から覗かせてパタパタと駆けて行く。
「………え……フツー、それ言い逃げする?」
ひどく赤面した俺の声だけが、廊下に虚しく響いては消えた。