I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
風呂上り、部屋にスウェットの上着を忘れたことに気付いた俺が居間へと足を踏み入れれば、
「……はぁ~~~~~ッ……私、変態みたい………。」
なんて、小さな声で零した凛子の姿が目に入った。
耳まで真っ赤にした凛子の可愛らしい後ろ姿に、なんだなんだ、なんてほんの少しの加虐心がそそられた。
「…タッ…タッ…!?…タカちゃん!?!?…な!?何で!?!?」
俺の上半身を視界にいれると、凛子の顔はこちらを振り向いた時よりも更に真っ赤に染まっていった。
そんな凛子が可愛くて仕方がなくて、ジワジワと何も気が付かないフリをしながら近づいていけば、凛子は「えっと…」とか「…その…」とか言いながら視線をあっちこっちに動かす。
「……えっと……その…タカちゃん?」
「………ん?」
「…ど、どいてくれません?」
「ん、いいけど。でも、それは凛子がちゃんと教えてくれたらな。」
なんて、悪戯に笑えば凛子は困ったように目を瞬かせていた。
今、俺の目の前で追い詰められた小動物のように慌てている凛子。
今すぐにでもその可愛い唇に噛みついて、その小さな身体を抱いてみたい。
きっと目の前で純粋な瞳をこちらに向けている凛子は、俺がこんなにも凛子に触れたくて仕方ねぇのを必死に堪えてるなんてことは微塵も考えてないのだろう。
彼女は一体、俺の知らないところでどんな事を考えて、どんな事を感じているんだろうか。
今この瞬間にも、凛子はどんな事を考えながら、そんなに顔に熱を集中させているのだろう。
なんて、まだまだ俺の知らない凛子が沢山いるんだな、なんてことを考えては、俺は心の中で苦笑する。
それでも、凛子が考えてること、感じてることは全部知っておきたいなんて感じてしまうのは、流石に欲張りが過ぎるだろうか?
でも、今この瞬間、
もしも仮に凛子が、俺がするのと同じように、俺に対して欲情を抱いてるなんてことが万に一つでもあるのであれば。
俺は、その期を逃すわけにはいかねぇから。
「…男にも引けない時があるかんな。」
なんて言葉が、俺の口から零れ落ちた。