I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
あの日は、あんなに熱っぽい視線で私を見つめたのに。
手を繋いだりとか軽い触れるだけのキスとかはあっても、あの日みたいなヤツはしてくれない。
あの日、何か失敗しちゃったのかな…。なんて考えれば落ち込んでいく一方で。
私だって、全然タカちゃんが足りないよ。
もっともっとタカちゃんに触れてたいのに。
…ほらね、やっぱり私だけがいつもタカちゃんの事ばっかり考えてる気がするの。
ねぇタカちゃん、
私のこと、もっともっと求めて欲しい。
私は、そんな自分の気持ちの重さを自覚すると苦笑を漏らした。
暫くタカちゃんがスッ…スッ…とスケッチブックに丁寧に線を引いていく様子をぼんやりと眺めていれば、机に置かれた一冊のスケッチブックが目に留まる。
「…?」
Cameliaと表紙に記されたスケッチブック。
気になって手を伸ばそうとすれば、横からサッと長い腕が伸びてきて、私がソレに手を伸ばす前にかすめ取ってしまった。
「…悪戯禁止、な。」
そう言って、珍しく少し焦ったような顔をしてみせたタカちゃん。
私はそんなタカちゃんの姿に首を傾げる。
「……ひょっとして、私には見せられないヤツ?」
そう言えば、タカちゃんは「…いやー…そういうわけでもないんだけど…」と言って頭を掻いた。
普段全くといっていいほど、隠し事なんかしないタカちゃん。
そんなタカちゃんが、「でも、これは……」なんて困ったように視線を泳がせている。
私はそんな今まで見たことがないような表情を見せたタカちゃんの姿に眉を顰めた。
何だろう?
…まさか、タカちゃんに限って何か隠し事?
まだ付き合って一カ月も経ってないのに、やましいことでもあるの?
やっぱり、あの日の私の何かがイケてなかった?
Cameliaって確か外国じゃ女の人の名前のはず。
実は外国人がめちゃくちゃタイプで写真の切り貼りでもしてるとか………?
なんて、私は止めどなく溢れ出てくるマイナス思考を打ち消したくて、タカちゃんが手に持つスケッチブックに再び手を伸ばした。