I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
1月のとある土曜日、
今日は、珍しく朝からルナちゃんとマナちゃんがご近所のお友達のお家に遊びにいくというので、私とタカちゃんは2人きり。
お昼過ぎに集合して、2人で原宿でウィンドウショッピングしたのち、今に至る。
タカちゃんの寝室に2人きり。
なんとなくタカちゃんのスペースに勝手に入るのは気がひけて、ここに足を踏み入れるのは何だかんだで初めてだった私。
タカちゃんの香りで充満したソコに私達2人きり。
そんな状況にドギマギしながら、私は隣に座るタカちゃんが、机に広げられたスケッチブックにペンを走らせる様子を静かに眺めていた。
「…それ、さっきカッコイイって見てた奴?」
「そーそー、今度自分でも同じようなの作ってみようかと思ってさ。」
「イイネ!タカちゃんなら絶対似合うよ!」
こないだあんな事があったっていうのに、タカちゃんは至って普段通り。
悪ィ、忘れないうちにデザインだけ残しといてもいい?
なんて言って机に向かっている。
全然いいよ。
でも、実はちょっと寂しかったりもする。
やっぱり私だけがいつもドキドキさせられてる気がして、何だかちょっとだけ悔しいな、なんてことも思ったりもしてる。
勿論、一緒にいれるだけで幸せ。
でも、やっぱり人間って欲張りなんだなぁ、なんて感じたりもしてて。
タカちゃんはきっと気付いてないけど、洋服のデザインを考えている時、タカちゃんはいつも、小さい子みたいに微かに瞳を輝かせてとっても楽しそうな表情を浮かべるの。
そんなタカちゃんを隣で眺めていられるのも、とっても大好きで幸せな時間。
…でも、何だろう。
たまには、手芸のことも東卍のこともすっかり忘れて、もっともっと私だけに夢中になってくれればいいのにな、なんて思ったりもしてる。
” ……俺、いつだって凛子が全然足んねぇの。 ”
そんな言葉を聴いたのはいつだったか…。
あれから、タカちゃんと私の間には何故だかほんの少しだけ距離が空いたような気がしていた。