I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
『へぇ、なるほどな。……だってさ、三ツ谷。聞こえてただろ?』
「…おー、サンキュな。結局人による…か。そりゃそうだよな、大分参考になったわ。」
俺がそう言って電話越しに笑えば、ドラケンも、「まぁ三ツ谷がタイミング見誤るとか絶ッ対ェねぇだろ。」なんて笑った。
そうすれば今度は、
『え?三ツ谷ってポーカークソ強ェガキ?ジョーカー?』
『おー、よく覚えてんな。』
『へぇ、ジョーカー彼女出来たんだ。ガンバ、ジョーカー!怖いならアタシが筆おろししてやろうか?!』
なんて声が聞こえてきた。
俺は、懐かしい記憶に笑みを一つ零す。
「…ハハッ、ジョーカーって懐かしいな。…ドラケン…夜遅くに悪ィな。お陰でちょっとスッキリしたわ。」
『おー、そりゃよかった。また何かあったら言えよ、盛大に爆笑してやっから。』
「…バーカ、こんなクソダセェ話はこれっきりだ。」
『ハハッ、そっか。残念。』
ま、健闘を祈っとくワ。なんて。
電話越しに笑うドラケンに「オウ。サンキュ。」と一言だけ返すと、俺は静かに電話を切った。
” まぁ三ツ谷がタイミング見誤るとか絶ッ対ェねぇだろ。 ”
そんなドラケンの言葉が脳裏に浮かべば、俺は苦笑した。
「…タイミング…ねぇ。それがわかったらこんなに頭抱えてねぇっつうの。」
もしもあのまま、凛子のことを押し倒していたら?
もしもあのまま、凛子の胸の膨らみに手を伸ばしていたら?
凛子は俺にどんな姿を見せてくれたんだろうか?
一体どんな声で俺の名を呼んで、
どんな表情で俺の瞳を見つめ返した?
そんなことを考えだせば、ドクンッ…ドクンッ…と再びうるさく騒ぎ立てる心臓。
下半身に熱が集中していくのが嫌でもわかる。
「………あー、くそッ。……凛子…ごめん。…俺、あんま長く待てねぇかも……。」
こうして、俺はその場に居もしない凛子に向けて苦し紛れに謝罪の言葉を零すのだった。