I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
「凛子ちゃん、お兄ちゃん、お帰りー!」「お帰りー!」
三ツ谷家の玄関をくぐれば、ルナちゃんとマナちゃんが出迎えてくれる。
あぁ何か幸せだな、なんて。私は思わず目を細めた。
「タカちゃん、私も盛るの手伝おっか。」
そして、そう言って台所へと向かったタカちゃんの後ろに続けば、
「じゃあ、俺、飯盛るからカレーかけてくれる?」
なんてタカちゃんは嬉しそうに笑った。
なんてことない日常だけど、タカちゃんがそこにいるってだけで何でこんなに嬉しくなるんだろうな、なんて。
私は一人また頬を緩める。
そんなこんなで、鼻歌交じりにタカちゃんから手渡された器にカレーをよそっていれば、
「森田さん家で、何かいい事でもあった?」
なんて横からタカちゃんの声が聞こえた。
「ううん、優美ちゃんには散々茶化されて帰ってきただけ。まぁ泣いて色々喜んでくれてたけど。」
そう先刻の優美ちゃん宅での会話を思い出して、クスクスと笑えば、タカちゃんも「あー、何か想像出来るわ。」なんて言って笑った。
「……やっぱ、こうやってさ、タカちゃんとルナちゃんマナちゃんと一緒の屋根の下でご飯食べれるのって、何かすっごい幸せだなぁーって思って。」
私がそう言って、タカちゃんの方をチラリと見遣れば、タカちゃんは優しく目尻を下げて微笑む。
「俺も一緒だよ。凛子が隣にいてくれっと、それだけで俺すげぇ幸せ。」
タカちゃんの指が私の髪をそっとすくえば、ドキンドキンッと高鳴る鼓動。
少し熱を帯びたタカちゃんの優しい瞳が私の瞳をジッと射る。
そして2人で暫し見つめ合っていれば、
「…なぁ…キス…してもいい?」
なんて、タカちゃんが私の頬を優しく撫でた。
「……うん。」
そしてタカちゃんの顔がゆっくりと近づいてきて、2人の距離があと1㎝…というところで、「お兄ちゃん、ご飯まだぁ?!」なんてルナちゃんの声が響いた。
その声に私達は2人して苦笑する。
「…続きはまた後で。」
耳元でそっと囁かれたタカちゃんの甘い声と、その甘い表情に、私の胸は高鳴るばかり。
でも、私達2人の時間はまだもうちょっとだけお預け。