I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「…タカちゃん?」
椿木さんは一瞬驚いたように身体を少し硬直させたものの、そんな俺の様子を伺うと、
「………タカちゃん、いつもありがとね。タカちゃんに出逢えて、私、本当によかった。」
そう言って、俺の背中に静かにそっと優しく手を添えた。
「…オウ、その言葉、そっくりそのまんま返すわ。俺と出逢ってくれてありがとな、椿木さん。」
そうして俺達は少し潤んだ瞳を合わせて微笑み合った。
暫くそうしていれば、時計の針が0:00を回っていることに気付く。
「…あれ、日付変わってんじゃん。」
「……え?…あ、ほんとだ。」
「ちょっと、待ってて。」
俺は、少し名残惜しく感じながらも、椿木さんの背中から腕を離した。
自室から小さな紙袋を手に取ると、居間へと戻る。
「コレ、大したもんじゃないけど……誕生日、おめでとう。椿木さん。」
そして、椿木さんにソレを渡せば、目を輝かせた椿木さん。
「…わぁ…ありがとう!…開けてもいい?」
「もちろん。」
俺の言葉を待つと、ガサゴソと包装紙を解いていく椿木さん。
「…わ、マフラーだ!もしかして手作り?…ん?あれ、何これ、制服のスカーフ?」
椿木さんが包みを開け終われば、以前プレゼントした藤紫色の浴衣と同じような色のマフラーと、金糸で刺繍が施された制服の緋色のスカーフが顔を出した。
「オウ、来年の冬も一緒にいたいって俺の願いつき。
それから、そっちは…
いつでも傍にいるって、俺が守るからって俺の決意表明みてぇなもんかな。
…あんな事もあったし、俺のモンだかんなって学校の奴らに見せつけるのも悪くねぇかなって。」
そう言って笑えば、椿木さんは「…タカちゃん……」と潤んだ綺麗な瞳でこちらを見つめた。
「…でさ、
これは少し早めの俺へのクリスマスプレゼントと思ってくれるとありがてぇんだけど…
椿木さんを守る権利と、
何があっても椿木さんの一番傍にいる権利、
その2つを俺にくんねぇかな。
……つまりその……」
” 俺の彼女になってほしい。 ”
椿木さんの澄んだ瞳を真っすぐに見つめて、そう告げれば、椿木さんは目をこれでもかという程大きく見開いてポロポロと涙を流した。