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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



「………どお?悪くねぇと思うんだけど。」

ポロポロと涙を零して目を瞬かせている椿木さんの姿に、ほんの少しだけ不安が押し寄せてきて、

そう言って顔を覗き込めば、椿木さんはブンブンと首を大きく縦に振った。


「……うん……うん!…私も…タカちゃ…んの彼女になり…たい!」


「……バーカ、何泣いてんだよ。」

「…だって、嬉しくて…」

「ハハッ、ほんと椿木さんって泣き虫な。ま、そこも可愛いんだけど。」

俺はそう言って、ガシガシと椿木さんの頭を撫で、微笑んだ。

「…いやー、今年はめっちゃ嬉しいクリスマスプレゼント貰っちまったわ。」

そう言って俺が頬を緩めれば、

「…ふふふ、私も。こんなに嬉しい…誕生日…初めて!」

なんて、椿木さんも花が綻ぶように笑った。


「…私がタカちゃんの彼女?」

「そうそう。俺の世界一大切で世界一可愛い彼女。」

「……ふふふ、何か夢みたい。」

「いや、夢だったら俺多分、マジで泣くわ。」


なんて、軽口を言っては笑い合う。

いつもの日常に椿木さんがいてくれるだけで、俺はやっぱりすげぇ幸せで。

俺はきっとこれからも、椿木さんのその柔らかい笑顔や声、仕草全てに何度だって恋をするんだろう。

誰かに恋することが初めてで、
人を愛することに不器用だった俺達は、

随分遠回りもして、傷付け合ったりもしたけど、

こうしてようやく、俺達は2人手を取って歩き始めた。


ちなみに、スカーフの刺繍にいれたのは、

"Quoi qu’il arrive,
je serai toujours là pour toi. T.Mitsuya "

なんてフランス語の一文。と俺の名前。

"何が起ころうと、俺はいつも椿木さんのためにそこにいるから"なんて、そんな想いを込めたメッセージ。

これはちょっと未来の話だけど、

制服のスカーフとかスクバに、こんな風に親しい間柄で刺繍をいれ合うなんてことが、この後、俺らの通う渋谷第二中では大流行した。

お陰様で手芸部は大忙し。

予想外に手芸部の宣伝にもなったし、俺の女ってことが広まった椿木さんへの嫌がらせはメッキリ無くなったし、俺にとっては幸せこの上ない日々がやってくる事になる。

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