I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
そうこうしていれば、
横で俺達の様子を伺っていた藍沢さんが、
「…ちょっと!何そんなとこで突っ立ってんですか!?部長たちは早くバイク乗って出なきゃ!私と凛子さんで救急車乗ればいいでしょ?!このイカレ女は間違いなく年少行きだし。むしろ行ってくれなきゃ困るし。外の奴らなんて適当に言えば何とでもなるし。」
なんて言って俺らの背中をバシンッと叩いた。
「…ほら、アンタたちもそんなとこに居続けたら本当に丸焦げになるから!そこのステンドグラスの割れ目から外に避難しますよ!」
そして、血が出すぎたのかフラフラしている椿木さんと放心状態の詩織さんの腕を掴んでは、ステンドグラスの麓まで引っ張っていく。
「………何か、藍沢さんって、女にしとくの勿体ねぇな。男前すぎて。」
「…うん、俺もそう思う。マジで。」
俺らは暫し、終始男前すぎた藍沢さんの後ろ姿を、ただ呆然と眺めていた。
そうすれば、バッとこちらを振り向いた藍沢さん。
「…ちょっと!!!2人とも捕まりたいんですか!?もう私知りませんよ!?」
「…ハハッ、何か、かっけぇ女ばっか揃ってるから、度肝抜かれてたわ。……じゃあ藍沢さん、悪ィけど、2人のこと頼むよ。諸々落ち着いたら、椿木さんのこと迎え行くから連絡してな。」
俺がそんな彼女の様子に笑いを堪えながら、そう言えば、藍沢さんはまたキッとこちらを睨んだ。
「…はぁ?ちょっと三ツ谷部長、私のことは?」
「あー、藍沢さんは一人で帰らせても何にも心配することねぇだろ。」
「…………この男、許すまじ。マジで。」
すげぇ事があった後なのに、驚くほどにアッサリとした別れ際に、俺は不思議な感覚でバイクに跨った。