I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「…大体ね、たった十何年生きただけで、世の中知り尽くしたみたいな顔しちゃあダメですよ。
まだまだ良い出会い待ってるかもしれないじゃん。先輩のこと心から愛してくれる人に出逢えるかもしれないじゃん。
真実の愛?そんなの探すなら、おばあちゃんになって息絶えるまで、まだまだ時間があるじゃん。
……だからね、お願いだから、
…生きたくても生きられなかった人達に謝ってよ。
…今まで傷付けてきた人達に向けてちゃんと謝ってよ。
………もう二度とこんなことしないって、
…死にたいなんて二度と言わないって、
…アンタ、ちゃんと謝んなさいよ!!!!!!」
椿木さんの真剣な瞳が詩織さんの瞳をただ真っ直ぐに射れば、詩織さんはボロボロと大粒の涙を頬に零した。
俺はハァーッと大きな溜息を零すと、椿木さんと詩織さんの脇にしゃがみ込む。
「…確かに椿木さんの言う通りだよ、詩織さん。
俺らには命があって、未来がある…。
憎んだ環境だって、辛かった過去だって、いつかは過去になる。
過去は変えられなかったとしたって、これからのことは俺ら次第でどうとでも変えていけんだ。
…諦めんなよ、自分を、愛を、人生を。」
「……ぐふっ…ダカちゃん…凛子ちゃん…がっけぇ…!」
俺は隣で泣きむせぶ八戒の頭を小突くと「…何でお前まで泣いてんだよ」と言って苦笑した。
ファンファンファン………
ピーポー…ピーポー…………
そうしていれば、遠方からパトカーと救急車のサイレンの音が聴こえてきた。
「………チッ、あのタクシードライバー呼ぶなっつったのに、通報しやがったな!?今度乗り合わせたらぶっ飛ばす!!」
「…タカちゃん、流石にサツはやべぇよ。俺ら無免だし。」
「…あー、どうすっかなぁ…コレ。」
火は、未だに少しずつ範囲を広げて燃え広がってるわ、
外の奴らはこちらに来ないところを見るに、まだその辺で伸びてるし…。
うち一人は、ガソリン被ってるわ精神不安定だわで放っておけねぇ。
もう一人は両手にナイフ貫通してるわ出血量もそろそろヤバいわで救急車に乗せなきゃまずいかもしんねぇ。
俺達はバイクが見つかりゃ無免で逮捕。
どうしたものかと俺は一人頭をかいた。