I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「…おらああッ!!!」
「……テメェら誰に喧嘩売ったかわかってんのかオラァッ!!!」
拳を交えること数十分、八戒と予想外の藍沢さんの活躍により、予想よりも早く敵方全員が地面へと這いつくばっていた。
俺は荒れた息を整えると、口の中に滲んだ血をプッと地面に吐き出した。
「………さて、本番はこっからだ。」
俺は割れたステンドグラスを睨むと、脳裏に綺麗な笑顔を浮かべる彼女の姿を思い浮かべる。
断定は出来ねぇけど、きっと彼女の仕業に違いない。
何故か妙な確信があった。
「……ハァッ……ハァッ…ったくよー、雇うならもっとマシな奴雇えよなー。…まぁ弱ェ奴らで正直助かったけどさ。」
「…三ツ谷先輩…何かさっきから凄い嫌な予感するんです。早いとこ行ってあげましょ。」
「…あぁ、わかってる。」
こうして俺らは、やけに五月蠅く騒ぎ立てている胸の鼓動を全身で感じながら、教会の入り口をくぐった。
入り口の戸をくぐれば、建物一周をぐるっと囲むような緩い円を描く廊下が続いていて、礼拝堂へと続くらしい扉が複数箇所に渡って設置されていた。
きっと囚われているなら奥の祭壇の方になるだろうとの藍沢さんの言葉により、俺は走って一番奥の扉へと向かう。
扉に耳をつければ、聞き覚えのある甘ったるい声が耳に届いた。
「………次はどこがいい?この綺麗な瞳をくり抜いちゃおうか?
…あぁ、そうだ。そこらへんで待たせてる男達に、この綺麗なお腹の中グチャグチャに犯してもらってから子宮ごとザックリいっちゃおうか?」
耳を疑うような物騒な言葉に、俺の胸はドクンッと大きく脈打つ。
…何だ?
次はどこがいいって、もうどっか傷付けられてんのか…?
俺は嫌な予感に息をのむ。
一刻も早く椿木さんの元へと駆けつけたい気持ちをどうにか押さえ、俺はタイミングを見誤らないように静かに時を待った。