I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
藍沢さんの指示に従い、全速力でインパルスを走らせていれば、辿り着いたのは森の中。
正面にそびえ立つのは、森の静寂の中に隠れるように佇んでいる廃教会のような建物。
鮮やかなステンドグラスは部分的に割れ落ちていて、壁もあちこちが崩れ落ちている。
もう随分長い事使われてないらしい、だだっ広い教会の敷地内には、黒のセダンやワゴン車がいくつか並んでいた。
ここで間違いないだろう。
そう思い、エンジンを切ってインパルスから降りれば、
「……三ツ谷先輩!!!」
と、茂みの中からこちらに駆け寄ってくる藍沢さんの姿が見えた。
カサカサと枯れ葉が擦れる音が静まりかえった森の中に響く。
「……オウ、藍沢さん。連絡くれて助かったわ。」
「お礼は後でいいんで、さ、早く!!!」
「…いや、藍沢さんは危ねぇから下がってろって。」
「はぁ?私だって結構使えるんですけど、昔空手やってたし。ホラ早く!!!」
俺はニカッと笑った藍沢さんに困ったように頭を掻く。
まぁここで言い争う時間も惜しいので、俺は藍沢さんの言葉を信じるか、なんて教会の入り口へと急いだ。
「…お?君、もしかして三ツ谷隆くん?いやぁ~遅いから中でもう始まっちゃったよ~。」
そうすれば、俺らの目の前に、煙草を口に加えた気だるそうな男が気味悪い笑顔を浮かべて立ちはだかった。
「………あ゛ぁ!?誰だテメェ!?」
「…タカちゃん、ここは俺らで何とかするから先に中入って!!!」
「…おっとぉ、君たちは招待されてないんだよなぁ。通すわけにはいかないねぇ。」
咄嗟に男に殴りかかった八戒と、八戒の拳を受け止めた男。
「ダメダメェー、あんま早く突破されちゃうと俺ら怒られちゃうんだわ。この先に進むのは、俺らの相手してからだ、東卍の弐番隊隊長さん♡」
いつの間に20人ちょいの男達が俺らの周りを囲んでいた。
俺は逸る気持ちを感じながら、舌打ちを一つ溢す。
「……仕方ねェ。…八戒!久しぶりに弐番隊で暴れんぞ!!!」
「ウッス!!!」
「藍沢さんは俺らの傍から離れんなよ。」
「だから、ナメないでくださいってば!!!…死ねオラ!!!…ほーら、1人KO~♪」
こうして、藍沢さんが1人の大男にイカツイ回し蹴りを決めたことによって、俺達と敵勢20数人との乱闘が始まった。