I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
ウォンウォーッ…ウォンウォンウォンッ……
痛みと恐怖の狭間で、聞き慣れたバイクの排気音が聴こえた気がした。
あまりのショックに、もう、それが現実の音なのか幻聴なのかすら判断することは難しくて、
無情にも、涙だけが零れ落ちていく。
血生臭い匂いだけが、まだ感覚の鋭く残っている鼻にツンと染みた。
嫌だよ、まだ死にたくないよ。
せっかくタカちゃんと両想いだってわかったばっかりなのに、こんなのあんまりだよ。
タカちゃんと一緒に見たい景色も、やりたいことも沢山あるよ。
嫌だよ、まだサヨナラなんてしたくないよ。
ルナちゃんとマナちゃんがどんな女の子に成長していくのか、タカちゃんがどんなデザイナーさんになるのか、ずっと隣で見届けていたいよ。
怖いよ、痛いよ、辛いよ。
ごめんね、
お姉ちゃんもユキもお母さんも、怖かったね、痛かったね、辛かったね。
お姉ちゃんとユキは最期に何を想ったんだろう?
私は大好きなみんなのことだけが頭に浮かぶよ。
「……痛い?怖い?……大丈夫大丈夫、すぐに楽になるから。
でも、お姉ちゃんと妹ちゃんだって向こうで待ってるでしょ?
きっとお母さんだって直にそっちに行くだろうし、一体何をそんなに怖がってるの?
死んだって、あなたは独りなんかじゃない。何も怖がることなんてないよ。
…それに、もし隆くんのこと心配してるなら、私がちゃーんとケアするから大丈夫♡」
…次はどこがいい?この綺麗な瞳をくり抜いちゃおうか?
…あぁ、そうだ。そこらへんで待たせてる男達に、この綺麗なお腹の中グチャグチャに犯してもらってから子宮ごとザックリいっちゃおうか?
西園寺先輩の握るナイフの先が、私の瞳の上で一周し、全身を舐めるようになぞると、下腹部でツンッと止まる。
覚悟を決めてそっと瞳を閉じれば、タカちゃんの笑顔と優しい声だけが瞳の奥に浮かんで、私は悔しさにまた涙を流した。