I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「オウ!!!任せて!!!」
そして、そう言ってガッツポーズを決めた八戒の返事を受けると、俺は急いでルナとマナを担いで自宅へと戻った。
玄関先に2人のことを下ろせば、
「…凛子ちゃん、誘拐された?大丈夫?」「大丈夫?」
と心配そうに眉を下げる妹達と目があう。
「オウ!兄ちゃんたちが行けば、悪い奴らなんてイチコロだ!」
「…ほんとに?お兄ちゃん強い?」「強い?」
「おー、お前らと椿木さん守るためなら、兄ちゃんは誰にも負けねぇんだ。だから、お前らが心配することなんてなーんもねぇの。」
心配そうなルナとマナの頭に手を置いて、笑顔を見せれば、
「…タカちゃん!柚葉連絡ついたよ!ルナマナのことはアタシに任せろって!」
なんて八戒の声が響いた。
「……よし、じゃあ兄ちゃん達行くけど、お前ら、柚葉の言う事聞いて大人しくしてんだぞ。」
「…わかった!柚葉の言うこと聞いて良い子で待ってる!」「待ってる!」
こうして俺らはインパルスに跨ると、大急ぎで椿木さんの元へと向かった。
ドクンドクンッと嫌に騒ぎ立てる胸の鼓動を全身で感じては、俺はアクセルを握る拳に力を込める。
少し暗くなり始めた茜色の空を背中に、インパルスのテールランプが真っ赤な曲線を残していく。
真冬本番の凍てつく風が全身を刺すように通り抜けるが、今はそんなことは微塵も気にならない。
全身で風をきって、一刻も早く、椿木さんの元へと辿り着かなくてはと、心が、身体が、逸る。
――――待ってろよ、椿木さんのことだけは俺が絶ッ対ェ守ってみせるから。