I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
病院を出れば、冬本番の冷たい風が目に染みて私は瞳を閉じた。
閉じた瞼の奥に浮かんでくるのは、あの日のタカちゃんの笑顔。
” 続きは、全部終わらせてから俺の口から直接ちゃんと言うから。
あとは俺に任せてちょっとだけ待っててくれねぇ?…たまには俺にも、好きな奴の前でくらいカッコつけさせてよ。”
タカちゃんの言葉を想い出せば、トクンットクンッと胸が温かくなっていく。
「…はぁ~~~~~~~~……あの時のタカちゃん……ほんとかっこよかったなぁ…」
あれから数日経った今でも、あの日のことを想い出せば自然と胸は高鳴っていくし、
お互いの想いが通じてからというもの、ふわふわと浮足立つような、どこか夢見心地な日々が続いていた。
街中のどこかしこを見渡してみても、往く景色はいつもよりも色めいて見える。
誰かと両想いだということがこんなにも心躍ることだなんて、タカちゃんに出逢って初めて知ったなぁ、なんて。
タカちゃんと出逢って初めて知る沢山の感情。
色を付けるなら、何色になるかな?
クリスマスが目前に迫った街中の色とりどりの煌めきを瞳に映しながら、きっとそれはどれも素敵な色になるだろう、なんて、私はまた頬を緩めた。
…でも、全部終わらせてからって、いつだろ?昨日、西園寺先輩に話つけてきたって言ってたけど……
まぁ、傍にタカちゃんがいてくれるなら、そんな些細なことはどうでもいいか。
私はそんなことを思いながら、緩みっぱなしの頬をタートルネックの服に埋めた。
きっと、こんな緩みきった私の顔を見たら、知り合いみんなから盛大に茶化されることになるだろうな、なんて。
でも早く、この嬉しい気持ちを幸せな気持ちを誰かに呆れるほど聞いてほしいな、なんて。
ミズキちゃんとの待ち合わせ場所に向けて、軽快に足を踏み出した。