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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



俺の気持ちを椿木さんにただ届けたくて、走り出した海岸線。

冷たい風を全身に浴びながら、椿木さんの元まで急いだ。

そうすれば、いつか訪れた想い出の場所に行き場を失ったような寂しそうな背中を見つけた。

今度こそ、その背中を優しく抱いて離さないから。

この熱い想いを受け止めて欲しくて、

いつの間にか出来てしまった2人の間にそびえ立つ壁を、ぶち壊したくて、

ただ見つめるだけの日々を終わりにしたくて、

俺は椿木さんの元へと、大きく足を踏み出した。


「………ごめんね。

…私、タカちゃんのことが好きで、好きで、苦しくてしょうがなくてね。

タカちゃんの傍で私じゃない女の人が笑ってる姿見てたら、胸が痛くて痛くてどうしようもなくって…。

私って本当はとっても臆病で弱虫だから、タカちゃんの話もろくに聞かないで、タカちゃんから離れようとしてた。

ずっとタカちゃんが私だけの傍にいて欲しいのに…タカちゃんが隣にいなきゃ何しててもつまんないのに…タカちゃんが傍にいてくれなきゃ寂しくてしょうがないのに…

…タカちゃんの優しさに、私、いつも甘えてた。

……それにね、多分本当は気付いてたの、タカちゃんの気持ち。

でも失うのが怖くて…手を伸ばせないでいた。ずっと。

………でも、やっぱりね、

何言われたって、どんな事されたって、私はタカちゃんだけを手放したくなくて、誰にも譲ることなんか出来なくて、誰よりも私の傍にいて欲しい。

それだけが私の真実なのに……今まで、たったそんな言葉さえ伝えられずにいて…困らせてごめんね、タカちゃん。」


これまでに打ち明けられなかった本当の想いをゆっくりと口にしていれば、突然奪われた唇。

そして、そう言って俺の胸で静かに涙を落とした椿木さん。

一度感じてしまえば頭がクラクラしちまうような柔らかくて温かいキスの感触。

求めてやまなかった椿木さんの温もり。

それら全てに俺の胸ははち切れそうで。

椿木さんの口から紡ぎ出されていく言葉は、俺の身体を、心を、思考回路を麻痺させるようだった。

愛しい彼女が自分を求めている、欲しくて仕方ない彼女がやっと自分のモノになる、そんな俄か信じがたい事実が全身の至る所を熱で浮かしていく。

俺は暫く言葉にならない喜びを全身で味わった。

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