I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「はは、悪ぃね、椿木さん。ちょっとこいつらと遊んでやっててくんねぇ?俺、その間に飯作っとくわ。」
美人が大好きで予想通り即座に椿木さんに懐いた妹達の姿に苦笑する。
椿木さんは「おっけい、任せて!」と言ってニコッと笑った。
色鉛筆と紙を持ってくるルナと、椿木さんの横にぴったりとくっついているマナ。
「まずはお絵かき??よーし、お姉ちゃんは可愛いマナちゃんルナちゃんでも書こうかなぁ~。」
ルナの髪を撫でながら微笑む椿木さん。
妹がいたと言っていただけあって、子供と遊ぶのに慣れてんな、と思う。
「おーお前ら、あんまり椿木さんのこと困らせんなよ?」
そう言って、ルナマナ椿木さんにジュースを出せば、椿木さんは感謝の言葉に「2人とも三ツ谷くんと似てて可愛いね」と付け加えると、ふわりと笑った。
ルナマナの面倒を楽しそうにしてくれている椿木さんに感謝しつつ、俺は研いだ米を炊飯器にセットして、生姜焼きの下準備をすませたところで、味噌汁を作る。
もう手慣れた作業を淡々とこなしていれば、「うわぁそれお兄ちゃん?マナちゃん上手だねぇ~」だとか「ルナちゃんも上手にお姫様書けたね~!フリフリのドレス可愛いね~!」だとか、妹達の書いている絵に律義に反応している椿木さんの声が聞こえてきて、ひどく心が和んだ。
「ん~いい匂いだね~!ご飯任せっきりでごめんね、何か手伝うことある?」
暫くすると、横から椿木さんがひょこっと顔を出した。
「いや、あいつらの遊び相手してくれてるだけで十分助かるよ。んー、もう肉焼けたら完成だから、味噌汁と飯だけもってもらってもいい?」
「おっけー!」
俺がそう指図すれば、てきぱきと器に味噌汁と飯をもってテーブルに運んでいく椿木さん。
なんかこうやって二人で台所に並んで作業するのも新鮮でいいし、椿木さんがいると家がなんというか明るくなっていいな、なんて思う。
「はーい、2人ともご飯でーす!一緒にお片付けしようねー!」
俺は生姜焼きを焼きながら、テーブルの上をせっせと片付けていく椿木さんの姿を見ては頬が緩むのを感じた。