I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「…いっつもニコニコ笑ってて、辛ぇ事があっても無理して笑ってるような子でさ。
細ぇ体ですぐ強がるトコが何か放っておけなくて…守ってやりたくなんなって想ったのがきっかけ。
…でも気付いたら、いつの間にか、守りてぇって思ってる奴に守られてる俺がいたよ。
…その子が隣で笑ってくれてりゃ大抵のことは何とかなる気がして、一人じゃムシャクシャして仕方ねぇ日も、その子が隣にいてくれりゃ嘘みてぇに優しい気持ちになってさ。
いつだって、その柔らけぇ笑顔とか声とか存在全てに救われてる俺がいたんだ。」
そう言うと、タカちゃんは幸せそうに目を細めた。
そんなタカちゃんの瞳はひどく優しくて、瞳の先の誰かを想えば、何だかギュッと胸を掴まれているような気持ちになる。
あぁ、これから私、フラれるのかな、なんて。
マイナス思考が、全身に警鐘を鳴らすように駆け巡る。
でもちゃんと向き合うって決めたから、私は耳を塞いでしまいたくなるのをグッと堪えて、タカちゃんの話に耳を傾けた。
「…これは、すげぇダセェ話だから正直あんま言いたくねぇんだけど、
俺にとってはその子が初恋って奴で…早く俺のモンにしてぇって、大事にしてやりてぇって、もう長い事ずっと思ってんだけど、
自制心効かねぇとか気持ちが重くなりすぎるとか…そんなんでいつか傷付けちまうかもって思うと怖くなって、あと一歩がずっと踏み出せないでいてさ。
…そうやって中途半端でどっちつかずなこと続けてたら、知らねぇうちにその子の事、すげぇ傷付けちまってた。
一番大事にしたいって思ってる奴のこと、俺が傷付けてどうすんだよな。」
” ………今まで辛ぇ想い沢山させちまって、ごめんな。椿木さん。 ”
予想外の言葉に、咄嗟に隣のタカちゃんのことを見上げれば、浮世離れした美しい夜の中、真剣な顔して私の瞳をジッと静かに見つめているタカちゃんがいた。
タカちゃんは、大きく目を見開く私を一目見ると、少し困ったように笑う。
「…今更遅ぇって言われても仕方ねぇけど、
俺の欲しくてたまらねぇモンは…
俺の一番傍にいて欲しいのはずっと…
…椿木さん、
椿木さんだけなんだ。」
そう言って私の瞳を見つめた切実な色した瞳に、
痛いほど胸に感じる真っ直ぐな想いに、
世界中が息を止めた、本気でそう思った。