I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「……ちょっと2人とも…ぶっ殺すって…ひどくない?」
「「…は?」」
聞き慣れた声に、パーちんとぺーやんが固く瞑っていた目を恐る恐る開ければ、
「私だってば、椿木凛子。」
と困ったように笑う凛子の姿があった。
「………ッなんッだよ、椿木さんかよ!死ぬかと思ったじゃねぇか。」
幽霊だと思った女が自分たちの良く知る人物だったという事実にホッと胸を撫でおろす2人。
「ハハッ、私のことお化けだと思った?2人とも、可愛いとこあるね~」
凛子は2人の姿を見ればクスクスと笑みを零した。
「……で、椿木さんは何でこんなとこいんだよ。こんな時間に怖ェーだろ!!!」
「…それに、何で裸足なんだよ?」
不思議そうにこちらを見つめるパーちんとぺーやんの姿に一瞬目を泳がせた凛子だったが、暫し思考を巡らせた後で、実は……と、ゆっくりと語り出す。
詩織や三ツ谷を好きな連中にされてきた嫌がらせの数々
自分の弱さ故に三ツ谷から逃げてしまったこと
これまでに起こったいくつもの出来事を、自身の想いの丈と共に2人に語った。
「………でも、皮肉にもその言葉で目が覚めたっていうか。そしたら久しぶりにここに来たくなってさ、お姉ちゃん達にカツ入れてもらってたところ。」
「あぁ゛?!…ッんだよ、それ。やり方が一々、女々しくて気に食わねーな。聞いてるこっちがムシャクシャしてきたぜ。」
「…つーか、ソレ、全部三ツ谷のせいだろ。…アイツ、こんなことになってるってのに何やってんだよ!?」
「…なぁ、椿木さん。ソレ、三ツ谷は知ってんのか?」
パーちんの言葉に、首を横に振る凛子。
「……女子の揉め事にタカちゃん巻き込むわけにもいかないでしょ。
それに、東京卍會の隊長さんの隣に並ぶにはさ…喧嘩が強いとかそーゆーのとはまた違うんだけど……何て言うか、ただ守られるだけの子より、やっぱ凛としててカッコイイ女の子でいたいじゃん。
…ここでタカちゃんに頼ったら、何か敗けな気がしてさ…なんだろ、女の意地って奴かな。」
凛子はそう言うと、困ったように笑った。