I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
ここ最近、どこか強がっているように見える三ツ谷部長の笑顔に私は一人悶々としていた。
三ツ谷部長のことをこんなにも苦しめることが出来るのは、この世でたった一人、凛子さんしかいないのだ。
こっちは必死こいて自分の気持ち忘れようとしてるってのに、あのお人好し女は一体何やってんだ、なんて。
言葉に言い表しようのない怒りが腹の底から沸々と沸いてきて、今日こそカツをいれてやろうと思ってた。
この程度、周りに搔き乱されたくらいで離れるくらいの気持ちなら、最初っから三ツ谷部長に近づくんじゃねぇよバカヤローって。
そう言ってやろうと思ってた。
もしも、あの位の嫌がらせで、三ツ谷部長から本気で距離取ろうと思ってるなんて言い出したら一発だけぶん殴ってやろうって。
そう思ってた。
だけど、部活をサボってまでやってきた教室。
中から聞こえてきた凛子さんの言葉に、それは自分の大きなお世話だったと気付く。
私は廊下の壁にもたれて溜息をついた。
”……でも、やっぱりタカちゃんのこと、手放したくないんです、私。
誰にも譲りたくない。
どんなことされたって、
世界中に後ろ指指されたって、
私は手放したくないんです。
タカちゃんのことだけは。
…だから、西園寺先輩にだって私は負けません。
どんな酷いこと言われたって、
どんな酷いことされたって、
私は西園寺先輩にタカちゃんを譲るつもりありません。
………つまり、
これは私から先輩への宣戦布告です。
『かかってこいバカヤロー』
それだけ貴女に言いたかったんです。”
「…ハハッ、ドラマかよ。」
私がそんな言葉を漏らせば、教室の扉をピシャンッと勢いよく閉めて廊下に出てきた凛子さんと瞳が合った。