I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「…正直、ただ私が邪魔なだけでこんなことしてるならやりすぎなんじゃない?って思ってます。
…一回広まっちゃった噂は中々消すことが出来ないし、どんなに強がっててもやっぱ、痛いモノは痛いし、辛いモノは辛いし、苦しいモノは苦しい。
それに、私って実はとっても臆病で弱いから、大切な事からすぐ目をそらすし、逃げたくなるんです。
………だから、タカちゃんの側を離れようと考えたこともありました。
そういう意味で考えれば、きっと、これまでの戦いは先輩の勝ちですよね。」
私が綺麗な夕陽を見つめながら、そう話せば、
「………ちょっと、さっきから何が言いたいの、あんた。」
西園寺先輩はそう言って怪訝そうな顔をした。
そんな西園寺先輩のことを一瞥して、私は再度綺麗な夕陽を全身に浴びる。
そして、机から腰を下ろして、西園寺先輩の足元まで進むと、私より少し大きい先輩の綺麗な顔を下から見上げた。
「……でも、やっぱりタカちゃんのこと、手放したくないんです、私。
誰にも譲りたくない。
どんなことされたって、
世界中に後ろ指指されたって、
私は手放したくないんです。
タカちゃんのことだけは。
…だから、西園寺先輩にだって私は負けません。
どんな酷いこと言われたって、
どんな酷いことされたって、
私は西園寺先輩にタカちゃんを譲るつもりありません。
………つまり、
これは私から先輩への宣戦布告です。
『かかってこいバカヤロー』
それだけどうしても貴女に言いたかったんです。」
私は真っすぐに西園寺先輩の顔を見つめた。
去り際、唇をグッと噛んだ先輩の顔が見えた気がした。