I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「……ごめんね、タカちゃん。ごめんね……ごめん。」
暫く一人で歩き続けて、ついにポロポロと溢れ出した大粒の涙。
それとともに零れ落ちたのは、タカちゃんに対しての謝罪の言葉だった。
ああ、私は弱いね。って。
臆病で弱虫で意地っ張りだね。って。
今まで自分がいたはずのタカちゃんの隣。
そこに私はいなくって、
別の人が綺麗な顔して笑ってる。
そんな事実が、痛くて痛くて仕方なかったの。
実際に瞳に映してしまえば、息もできないくらい怖くて、不安で、苦しくて。
あまりの胸の痛さに、今日も私は大好きなタカちゃんから目を背けたね。
心が破れるなんて、Heart Breakなんて、本当によく言ったもので、私の心は正に今、崩壊寸前で。
心が粉々に音もなく崩れ落ちるそんなギリギリのところで、ひび割れた2人の幸せな記憶を手繰り寄せている。
自分から突き放しておいて逃げておいて、こんな気持ち抱くなんて、都合がよすぎることは自分でも痛いほど理解していた。
…でも、
ごめん、タカちゃん。
やっぱり、どうしても君だけを手離したくないよ。
例え、この世界を敵にしたとしても、タカちゃんの愛だけが欲しいよ。
きっとこれまでの私は、近寄る愛の気配を感じていながら、ソレに手を伸ばすことに臆病すぎたね。
自分にとって大事なものが何かわかっていたのに、失うのが怖くて手を伸ばしてくれる手を掴めずにいたね。
ごめんね、タカちゃん。本当にごめんね。
私は優しくてあったかいタカちゃんの大きな手を、いつだって振り払ってしまっていたんだね。
独りきりになるのは、こんなにも怖いのに。
寂しくて仕方のない夜を温かく照らしてくれるのは、いつだって君しかいないことを知ってたのに。
一番に言いたい言葉だけ、どうしていつも言えなかったんだろう。
誰よりもタカちゃんの近くにいたいよって、
寂しい時はいつだってタカちゃんの愛に包まれてたいのって、
タカちゃんの隣で一緒に笑ってるのは、いつだって私がいいんだって、
強がる私のことを、馬鹿だなって、これからもずっと笑って叱ってほしいって、
たったそれだけ、伝えられればよかったのにね。
とめどなく溢れてくるのは、溢れるほどの後悔。
それは大粒の涙と化し、ポタポタと零れ落ちては灰色の地面を色濃く染めていった。