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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



「でもね、三ツ谷くんのお家って母子家庭らしくて、お母さんがお仕事で夜遅いから、ユキと同じくらいの歳の妹とまだ小学校あがってないような妹ちゃん2人の面倒、いつも三ツ谷くんが見てるんだって。だから、お料理もすっごい上手なの!!でもね、三ツ谷くんって、愚痴とか不満とかそういうの全然言わないんだ。何かそういうの、人として、すっごいかっこいいなーって思ってさ、凛子もそういう人になりたいなーって思った。」

凛子は三ツ谷の眩しい笑顔を思い出しては、微笑んだ。

「それにね、妹ちゃん達とも一緒に遊んでくれないか?って、ご飯もたまに一緒に食べようって言ってくれたの。…その言葉聞いたらさー、なんかわかんないけど、すっごい嬉しくって、久しぶりにちょっと泣けちゃった。」

凛子はそう言うと、ハハッと乾いた笑い声を静かな病室に響かせた。

「…そんな感じでさ、三ツ谷くんって、とーっても素敵な男の子だからさ、お母さんも早く目ぇ覚ましてさ、三ツ谷くんとお話出来たらいいのになぁ。」

凛子は自分と同じ細くて柔らかい母の髪をなでて、母の身体に奇跡が舞い降りることを祈った。

~♪

「…お、噂をすれば何とやらだ。」

不意に鳴り響いたメール受信音に携帯を取り出せば、メールの送信者の欄には、” 三ツ谷くん ”と表示されていた。

そして、受信時刻を見て、病院に到着してから小一時間経過していたことに気が付く。

メールを開ければ、『迎えに行くから帰るころ連絡して』と簡潔に一言だけ記載されており、学校の帰り際、「今日も見舞い行くの?」と三ツ谷から尋ねられたことを思い出して、凛子は頬を緩めた。

『ちょうど今帰ろうと思ってたところ』と連絡をすれば、今行くから10分ほど待ってるようにと早くも返信が届いた。

「…ふふ、お母さん。三ツ谷くんって、少しお父さんに似てるかも。」

凛子は病室に飾ってある家族写真を見ては、ふっと柔らかな笑みをこぼした。
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