I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
※ 今後、夢主家族の名前も登場させますが ※
※ 固定名とさせていただきますm(__)m ※
「お母さーん、今日も凛子が来ましたよー!…体調はどう?痛いところはない?」
凛子が母が眠る病室へ足を運ぶと、いつもと変わらず安らかな表情で眠る母の姿があった。
トクントクンッと脈打つ彼女の命の音に、凛子は胸をほっとをなでおろす。
「…そうだ、お母さん、ビッグニュースがあるの!この間話した三ツ谷くんって覚えてる?クラスが同じになった私の一つ後ろの席に座ってる男の子のことなんだけど…。」
そして、病室に備え付けられている椅子を母の横に持ってくると、今にも目を覚ましそうな母へと語りかける。
声をかけたところで返事が返ってくるわけではないけれども、”反応しなくても聴こえているから沢山話しかけてあげてね”という医師の言葉を聞き、日常での出来事を母に聴かせる事が凛子の習慣となっていたのだ。
病室の窓から吹き込んだ爽やかな風が凛子の髪を優しくさらう。凛子は、母に髪を梳かれているような感覚に目を細めた。
「三ツ谷くんって暴走族の隊長とかしててさ、ぱっと見は不良少年なんだけど、真面目に手芸部で活動してるし、勉強とかもちゃんとしててさ。話したことないけど、なんか面白い男の子だな~って思ってたんだ。そしたら、昼休みにピアノ弾いてるところ見られちゃって、それから色々話したりするようになったんだけどね…なんとびっくり!うちのお向かいさんだったんだよ?もしかしたら、お母さんは見たことあったかもしれないね!」
凛子は、進級してからこれまでの日常を振り返って、ニコニコと笑って話す。
安らかに眠っている母も、そんな風に楽しそうな凛子の話を心なしか微笑んで聞いてくれているように凛子は感じていた。