I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
ウォンウォウォウォンウォウォ…ウォンウォンウォンッ…
久々の集会終わり、俺は胸の内で持て余したフラストレーションを吐き出すようにエンジンを空吹かしていた。
考えるのは、今日だって椿木さんのこと。
俺は、そんな自分自身に一つ溜息を溢す。
” モデルさんなんて、デザイナー志望のタカちゃんとすっごいお似合いじゃない? ”
つい先日椿木さんが零した何気ない一言が、今も胸にズシンと重く突き刺さっている。
俗に言うイイ感じだと思っていた椿木さんとの関係。
俺なりに慎重に大切に育んできた2人の関係は、もう少しのところで、” 恋人 ”という形に変わるだろうとそう確信していた。
なのに、そんな言葉を綺麗な笑顔でのべた椿木さんの姿を思い返せば、それは一夏の幻だったのかもしれないなんて、情けなくも俺の心は落ち込む一方で。
それに追い打ちをかけるように鳴り響いた椿木さんからの突然の電話。
彼女と俺との間に徐々に広がり始めた溝のようなものを感じて、俺は虚しさを感じながら、仲間達のテールランプの影をぼんやりと眺めていた。
「おー、三ツ谷。そんな怖ぇ顔してどうしたぁ。」
「ハハッ、怖ぇ顔しててもコールは上手い。それが三ツ谷。」
暫くすれば、珍しいものでも見るような目つきでドラケンとマイキーが寄ってきた。
「…あー、ちょっと考え事してただけ。」
「あ?考え事?」
「三ツ谷のことだ。どーせ、凛子ちゃんのことでも考えてたんだろ?今日は凛子ちゃん、何作って待ってるって?」
いいなぁー俺もまた凛子ちゃんのケーキ食いてぇなーなんて、口を尖らせるマイキー。
「…ハハッ、俺も暫く椿木さんの飯食ってねぇわ。」
俺がそう言って苦笑すれば、驚いたように目を瞬かせるマイキーと、こちらを伺うように見つめるドラケン。
「なんだなんだぁ?三ツ谷お前、凛子と喧嘩でもしたのかぁ?」
「ちょっ、場地さん!…もっとこう…オブラートに包んで…」
そうこうしていれば、騒ぎを聞きつけた場地と千冬もこちらにやってきて、俺はまた一つ溜息をついた。