I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「はぁ~あったまったぁ~!」
「極楽極楽ぅ~!」「ごくらく!」
ホカホカと芯から温まった身体で仲良く3人でお風呂を出れば、夕飯のいい匂いが鼻を掠めた。
「…お、今日はクリームシチュー?美味しそ~♡」
バターとホワイトソースの甘く優しい香りが食欲をそそる。
まだ濡れた髪の毛をバスタオルで拭きながらキッチンに顔を出せば、私のエプロンをつけたタカちゃんが「お、上がった?」と言ってはにかんだ。
何だか少し小さく見えてしまうエプロンとタカちゃんの組み合わせが可愛くて私も笑みを零す。
そうすれば、タカちゃんは「…なに。」と恥ずかしそうに頬を掻いた。
「…んー、私のエプロン、タカちゃんが着るとやっぱり小さいんだなぁって思って。なんか可愛く見えるなって。」
「……そりゃあこれでも一応170あるし。」
…ほら、先に髪乾かさねぇとほんと風邪引くぞ。なんて照れ隠しなのか、私の手を引いてずんずん歩いていくタカちゃんに気付かれないようにクスリともう一つ笑みを零した。
タカちゃんのこういうところ、本当に可愛いんだよなぁ、なんて。
そんなことを思っていれば、リビングのソファに座るよう指示されて、タカちゃんがきっとあらかじめセットしておいたのであろうドライヤーで私の髪を乾かし始める。
「三ツ谷ママ、今日は一段と優しいね。」
私が照れ隠し半分、そんな軽口を叩けば、
「ん、今日は椿木さんのこと存分に甘やかすって決めてんの」
なんて優しい口調でタカちゃんが言うものだから、私の胸は不覚にもトクンッと跳ねた。
「はい、これ。髪乾くまでそれでほっぺた腫れてるとこ抑えといて。」
そう言ってエプロンのポケットからアイスノンを出したタカちゃんは、本当にママ向きだと思った。
でも、このことは、この際秘密にしておく。