I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
タカちゃんの家に寄ってルナマナコンビと合流したあと、自宅に足を踏み入れるやいなや、
「ん、椿木さんはまず熱いシャワー浴びてくること。ついでに湯舟もゆっくり浸かってくること。飯の支度は、俺の方で適当にやっとくから。」
と、半ば強引にタカちゃんに脱衣所に押し込まれてしまった。
そんなわけで、私は湯舟に浸かって冷え切った身体を温める。
温まって血が巡り出せば、叩かれた頬がズキズキと少し痛みだして顔を歪めた。
ふぅーっと大きく息を吐き出しながら、今日の出来事を思い返す。
今日は朝から色んな事があったなぁーなんて。
ピチャンッ…ピチャンッ…とシャワーの噴出口から滴り落ちる水滴をぼんやりと見つめていれば、脱衣所の扉をバタンッと開ける音が響いた。
何事かと思って浴槽の淵に預けていた頭を起こせば、
「ルナも一緒に入る!」「マナも!」
と脱衣所に勢いよく入ってきた可愛い姉妹のシルエットが浴室の曇りガラス越しにぼやけて映った。
「コラッ、お前ら!いい加減にしねぇと兄ちゃんもいい加減怒るぞ!」
どこかで怒声を発しているタカちゃんは、こちらに来るのを遠慮しているらしく一向に姿を現さない。
一方で、これ見よがしにといった感じで、服を脱いで、浴室の扉を開けたルナマナコンビ。
「凛子ちゃん、髪の毛洗って~」「マナも!」
「……ッんのバカ!お前ら今日は駄目だって言ってんだろ!今すぐこっち帰ってこないとお前ら夕飯抜きにすんぞ!」
そして、また遠くの方から聞こえてくるタカちゃんの声。
私は、そんな微笑ましい三ツ谷兄妹の日常に笑みを零すと、
「大丈夫だよ~タカちゃん。服はユキの着せてあげればいいし!2人ともお風呂一緒に入れちゃうね~。」
と姿の見えないタカちゃんに向けて大声で叫んだ。
そうすれば、「…今日はゆっくり入りてぇだろうに、マジごめん。」なんて小さな謝罪の言葉が聞こえてきた。