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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



人に対する底のない優しさだとか、不器用な人の愛し方だとか、すぐに強がって笑うところだとか…知れば知るほど、彼女は私の慕っている三ツ谷部長にそっくりだった。

そんなことに気が付いた頃には、不思議なもので、三ツ谷部長と凛子さんの幸せを願うようになっていた。

勿論、もう三ツ谷部長に対しての気持ちは0かと聞かれればNO。

体育祭、三ツ谷部長がぐったりとした凛子さんのことを酷く心配した表情で抱きかかえている姿を見たときは、ズキンと胸が痛むのを感じた。

それに、保健室で愛おしそうに凛子さんの髪を撫でているのを見た時には知らないうちに涙が零れていた。

ただ2人が幸せそうに微笑み合っているのを見れば、私や他の誰かが入り込む隙なんか微塵もないなんてことは一目瞭然だったし、

2人の孤独とか弱さとか、そういった脆いところを知らないうちにお互いが補い合っている、そんな感じがした。

そう、

2人にはお互いが必要で、お互いがお互いを心の底から想いあっている。

皮肉なことに、片方に恋をして片方に憎しみを抱いたからこそ、そんな揺るがない事実に気が付いてしまったのだ。

ほろ苦い記憶を大切に胸の奥にしまえば、私はまた一つ溜息をついた。

「…はあ…凛子さん、あんたってほんとバカヤローですよ。……三ツ谷部長も早く告れよ、あの人もほんと何やってんだか………って何笑ってんですかあんた!」

私が半ば2人に対しての不満というか愚痴というか小言をボソボソと独り言ちていれば、クスクスと隣から小さな笑い声が聞こえる。

バッと隣を振り向けば、凛子さんは小さな口元にゆるく折った指先を当てて、笑っていた。

「ごめんごめん。タカちゃんってこーんなに優しくて素敵な子達に囲まれて部活やってるんだなぁ~って思ったら何か嬉しくなっちゃって。」

そう言うと、凛子さんはこちらに優しく微笑みかけた。

「……なんなんすか、急に。そういう余裕ぶった感じうざいっす。いらないっす。」

先程から罵倒の言葉しか浴びせていないというのに、へらへら楽しそうに笑っている凛子さん。

何か調子狂うな、なんてチラリと横目で伺えば、「…ふふふ、なーんか元気出たな!ありがとね、ミズキちゃん!」と、凛子さんはまたふわりと綺麗に笑った。

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