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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



「…え、めっちゃいい子じゃん!流石タカちゃんの後輩!」

初めましてだというにも関わらず、とても親切な彼女の行動に驚いて目を瞬かせていれば、

「いいから、早く身体拭いてください!もう11月半ばなんですよ?風邪引く!」

なんて言って、ミズキちゃんはタオルを私の濡れた頭に乱暴に投げつけた。

「ハハッ、冬服で中まで染みてなくてよかった~。ミズキちゃん、ほんとありがとね。」

渡された大きなタオルで濡れてしまった制服や身体を拭きながら、そう感謝の言葉を口にすれば、ミズキちゃんは「別に」と照れたようにそっぽを向いた。

「…ってか、先輩、何でやり返さなかったんですか?…さっきのビンタだって、避けようと思えば避けられたっすよね?私、前に先輩が3年の男のこと蹴り飛ばしてたの見たことありますよ。」

「…えぇ!あれ見てたの?!嘘、やだ、本当に?!」

うわぁ、、あの時のこと見てた人がいたなんて…

” 暴力女 " とか陰で言われていないだけまだマシかなんて思っていたけれど、もしかしたら、そう陰口を叩かれる日もそう遠くはないのかもしれない…なんて。

そんなことを考えながら苦笑する。

私は花壇の煉瓦に浅く腰掛けて、大分日が短くなって夕焼けに変わりつつある綺麗なオレンジ色の空を見上げた。

「………そうだなぁ。何かさ…力が暴れてる人って、
それぞれ程度に差はあるかもしれないけど、みんな傷付いてるように見えない?みんなどこか傷付いてて、寂しいから、どこにもやりようのない鬱々とした力を誰かにぶつけたくなるのかなって、そんな気がしちゃう。」

私はそこまで言うと、こちらをジッと見つめているミズキちゃんに笑いかけた。

「…そう思うと不思議と怒りも静まるっていうか何て言うか。…それに、力は守るために使うもんだって、お姉ちゃんとタカちゃんが教えてくれたからさ。……いやぁ、ほんと困っちゃうんだ、私の周りにはカッコイイ人しかいないから。」

私の周りを囲む最高にカッコイイみんなのことを思い出せば、自然と頬は緩んで、水に濡れて冷たい身体は不思議と体温を取り戻していくようだった。

「…そして、私もみんなみたいになりたいと思ってる。だから、こんな小さな痛みに任せて私は暴力をふるわない。」

そう言ってミズキちゃんの瞳を見れば、ミズキちゃんは大きな溜息をつくと、私の隣にドカッと腰を下ろした。
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