I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「………かっこ…いいなぁ…タカちゃん。」
騎馬戦も勿論かっこよかったけど、好きな人の走っている姿ってどういうわけか物凄くかっこよく見えるんだな、なんて。
そんなことに、今初めて気が付いた。
この状況を楽しんでいるのか、バイクに跨っている時と同じように口角をあげ、どことなくヤンチャな顔を覗かせるタカちゃん。
以前プレゼントしたピアスが、太陽の光を浴びてキラリと輝いていた。
タカちゃんの走る姿に見惚れていれば、タカちゃんはぐんぐんとスピードを上げて、1人、2人と前を走っていた別のクラスのアンカー達を追い抜いていく。
「「「…きゃー!三ツ谷せんぱーーーい!!!頑張ってー!!!」」」
「…すっごぉーーーい!凛子、三ツ谷くんすごいじゃん!!!いいぞ、このまま走り抜けー!!!」
前を走る4人のランナーがギリギリの勝負を繰り広げる様子に、会場の熱はクライマックス。
手芸部の後輩らしき女の子たちの声援や優美ちゃんの声援が、私の頭にひどく響いた。
そろそろ私の身体も限界で視界はチカチカするし、鼓動は嫌にドキドキとうるさい。
それに何だか少し気持ち悪くなってきた気もする。
それでも何とか最後までタカちゃんの勇姿を見届けたい、そんな一心で何とか気を奮い立たせていれば、最後の最後で更に加速したタカちゃんによってゴールテープが切られた。
ワッと沸いた会場に、大活躍のタカちゃんに向けて走り出したクラスの男の子たち。
私は両手を高く空に掲げて、満面の笑みを咲かせたタカちゃんに笑みを零すと、フッと意識を手放した。