I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「はい。これ飲んでちょっとは落ち着いたらいーんだけど。」
そう言って手渡された冷えたポカリ。
「タカちゃん、ありがとう」なんて少しクラクラする頭でお礼を告げれば、コツンとタカちゃんの額と私の額がぶつかった。
「…え。」
視界全面にタカちゃんの綺麗な顔。
私が暫く呆けに取られていれば、
「…ん、熱はないみてぇだな。」
と安心したように額を離して微笑んだタカちゃん。
「…じゃあそろそろ俺リレー行ってくっけど、大人しくしてろよ。あ、森田さん。悪いけど、椿木さんのことよろしく頼むわ。コイツ具合悪そうで。」
そう言って近くにいた優美ちゃんに声をかけると、タカちゃんは心配そうにその場を後にした。
ただでさえ、貧血で少しドキドキしてきたところだったのに、心臓に悪いなぁ。なんて。
「凛子?!顔真っ青じゃん、大丈夫?!」
「あー、優美ちゃん。ダンス成功してよかったね。」
タカちゃんの声にこちらにやってきた優美ちゃんは、私の顔を見るとすぐに心配の声を上げた。
そんな優美ちゃんにまず伝えたかったことを笑顔で述べれば、「バカ、今はそこじゃない!」と頭をペシッと叩かれる。
「ははは、大丈夫大丈夫。ダンスで結構動いたから、ちょっと生理の血が多く出すぎちゃったのかも。」
私、そんな顔色悪い?なんて笑って見せれば、心配そうな顔した優美ちゃんが「悪い!とりあえず、そのポカリ飲んで!」とポカリを無理やり口に突っ込んできた。
「凛子…保健室行って、ちょっと横になったら?」
そう言ってこちらを伺う優美ちゃんに、私は唸る。
確かに少ししんどいけど、まだ最悪の状態じゃないはず。
私は意気地がなくなってきた身体に鞭を打つと、重い腰を上げた。
「…ありがと、優美ちゃん。でも何とか大丈夫そう。…タカちゃん、クラス対抗でアンカーだもん。それ見なきゃ死んでも死にきれないでしょ?」
そう言って優美ちゃんに精一杯の笑顔を向ければ、「…バッカ…でも、本当にやばくなったら我慢しないでちゃんと言うんだよ?」なんて優美ちゃんがため息をついた。