I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
というのも、
曲のサビに差し掛かったところで、椿木さん達は一列に整列して、リズムに合わせて片足ずつ足を高く振り上げていたから。
「おおー、全員でやると大分迫力あんなー。」
「なっんだよ、パンツ見えねぇじゃねぇかよ、俺期待してたのにー!誰だよ、衣装作ったの!」
普通にダンスに感心するドラケンと、別のところで不満を漏らすパーちん。
「衣装作ったの、俺。」なんて心の中で思いながら、俺は残念がるパー横目に、またクツクツと喉を鳴らした。
あー、よかった、キュロットにしといて。
心の中で、ほっと安堵の息を漏らす。
こんな可愛い椿木さんのパンチラなんて、他の男どもに見せてやるわけねぇだろーが。
まぁ俺だってちょっとは見てぇけど。…そりゃ、俺だって男だし要望通りスカートで作るか一瞬悩んだけども。
そんなことを考えていれば、雰囲気は一転、キューティーハニーのイントロが流れ出して、全員が一度その場にしゃがんだ。
そして、倖田來未の歌に合わせて立ち上がり踊り出したのは、椿木さん森田さん含んだダンス委員と思われる少数メンバー。
セクシーで煽情的なダンスに、あちこちから口笛を吹く音が聴こえてくる。
女性特有の曲線を強調するような踊りに、俺も不本意ながら身体に熱が巡るのを感じたのは否めない。
「…え。」
でも、驚くのはこの後。キューティーハニーの間奏だった。
どうやら森田さんのいっていたソロパートというのは、ここのことだったらしい。
ダンス委員一人ひとりが順に、中学生にしては色っぽい表情を携えて艶めいた踊りを披露していく。
「「「…おお~…エッロ。」」」
勿論、そこにいる椿木さんも例外ではなく。
応援席や観客席にいる男達から歓声が上がり、自身のパートを終えると、ソロを終えた安心感と照れからか、ふにゃっと柔らかくはにかんだ椿木さん。
それがまた男の心を鷲掴みにするなんて、椿木さんはきっと1㎜もわかっていない。