• テキストサイズ

I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



ロコローションの音楽にあわせて、ポンポンを手にした女子達が頭上で大きな手拍子をしながら登場する。

楽しそうにグラウンドを周回しながら、それぞれが持ち場に移動しているようだった。

「おい、凛子ちゃん、どこだよ。女多すぎだろ。」

全校中の女子がグラウンドにわらわらと登場したため、椿木さんを中々見つけられず顔を渋らせているドラケン。

「あそこのポニーテールに白いリボン巻いてんの椿木さんだよ。ショッキングピンクのポンポン持ってる。」

俺が見かねてそう指を差せば、「流石三ツ谷、惚れた女の子だと見つけんの早ぇな~。」なんて、横からマイキーが面白そうにこちらを向いた。

「うっせ!」

ニヤニヤと気色悪い顔でこちらを覗く東卍各位を俺が一蹴すれば、女子達も全員持ち場についたらしく、綺麗な整列が出来上がっていた。

俺は期待で膨らむ胸の鼓動を感じながら、少し遠くにいる椿木さんのことを見つめた。

椿木さんは、少し緊張した面持ちで周囲を見渡した後、何人かの女子と目配せをすると放送席の方に合図を送る。

そうすれば、ロコローションの音楽が少しずつボリュームダウンして、その代わりに聴こえてきたのは、ORANGERANGEの花。


” 花びらのように散りゆく中で、
    夢みたいに 君に出逢えたキセキ

 愛し合って ケンカして
    色んな壁2人で乗り越えて

 生まれ変わっても あなたのそばで 花になろう ”


音楽にあわせて、金、銀、ピンク、などと色とりどりのポンポンが、さざ波を描くように、グラウンドの端から端まで綺麗に揺れる。

ロコローションから一転した花と、続きを楽しみにさせる曲展開に俺らは自然と胸を高鳴らせた。

そうすれば続いて聴こえてきたのは、ココロオドル。

音楽に合わせ立ち上がったのは、まだ垢抜けてない感じからして1年生だろうか。

ブレイクダンスを混ぜたような少し洒落たダンスが何となく微笑ましい気持ちになる。

椿木さんはと言えば、芝生に膝をついて、下級生が踊る様子を身体を揺らし歌を口ずさみながら、ニコニコと楽しそうに見守っているようだった。

/ 287ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp