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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



「……オウ、三ツ谷。この時を待ってたぜ!」

「悪いがこの戦い、紅組の勝ちだぜ!」

「…うっせぇ、ボケ。ぺーやん、ぱーちん…お前らには絶ッ体ェ負けねぇ!」

校庭の中央、ギラギラと照り付ける太陽の下、
騎馬戦という名の熱き男達の戦いが繰り広げられていた。

それぞれ健闘するも中盤、
ほとんどの騎馬が、白組率いる三ツ谷を上に乗せた騎馬と、紅組率いるぺーやんを上に乗せたパーちんの騎馬によって取り崩される。

そして、当の3人と言えば、やる気に満ちた様子でお互いにジリジリと歩み寄っているところだった。

残り時間もわずか、この2つの騎馬の潰し合いの結果によって全体の勝敗が決まると言っても過言ではない。

観客含めどことなく緊迫した空気が漂う。

暫くの間、両者がお互いの隙を伺うように進退を繰り返していれば、

「「死ね、三ツ谷!!!」」

と、突如、ペーやんを乗せたパーちんの騎馬が勢いよく三ツ谷目掛けて特攻を切る。

両者一歩も引かぬハチマキの取り合いを、応援席からハラハラとした気持ちで見つめる凛子がいた。


「……タカちゃん、かっこいいなぁ…なんて考えてる?」


そんな凛子の肩越しに優美がぬっと顔を出す。

「…へ?!ゆ、優美ちゃん?!」

凛子が驚いて飛びのけば、クスクスと楽しそうに笑う優美の姿。

「ハハッ、顔真っ赤にしちゃって可愛いんだから~。さては、凛子図星だったな~?」

「…べ、別にそんなんじゃなくて…び、びっくりして…」

「いいじゃんいいじゃん、素直になりなって。…でも三ツ谷くんも林くん達も、流石いい身体してんね~。喧嘩慣れしてる不良はやっぱ違うわ。」

「……うん。」

凛子と優美は未だ押したり引いたりを繰り返している上半身裸の三ツ谷たちを眺める。

細身で引き締まった身体に、程よくついた筋肉の影。

両者押し引きを繰り返してもブレない体幹。

普段の制服姿からは想像出来ないような男らしさを感じる三ツ谷の姿に、凛子は見てはいけないものを見るような気持ちになりながらも、不思議と瞳が離せないでいた。

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