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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



「…つーか、今ふと思ったんだけど、別に一曲に絞んねぇでイイ感じの曲でヒットソングメドレーみたいにしてもよくねぇ?学年で曲分担するとかすれば動きも出るし結構華やかなことになりそうだけど。」

「……え。…タカちゃん天才?確かに別に一曲に絞る必要ないね…わぁ、何か想像したらめっちゃいい!楽しくなってきた!」

俺が提案すれば、まるで、ぱぁっと効果音が聞こえてくるように顔を綻ばせた椿木さん。

そして、「ありがとう、タカちゃん!」と満面の笑みで感謝の言葉を述べると、椿木さんは、ルーズリーフ片手に入場から退場までのメドレーの曲編成をニコニコと楽しそうに考えだした。

まぁ、どうせなら色んな椿木さんが見てぇなって思ったってだけなんだけど。なんて。

そんな俺の心の声に気が付くはずもなく、向かい側で楽しそうにルーズリーフに向き合っている椿木さんの姿に頬を緩めた後、俺は再び針を手に取ったのだった。

結局、その後どんなメドレーになったって言ってたっけな。

そんなことを考えていればグラウンドに到着する。

「じゃあタカちゃん、また後で!」

整列するため、椿木さん森田さんと別れようと思った矢先、視界の少し下の方で揺れているポニーテールの結び目に括られたハチマキが解けかけているのが目に入った。

「あ、椿木さん、ちょっと待った。」

俺が思わず呼び止めれば、不思議そうにこちらを振り向く椿木さんと森田さん。

「ハチマキ、解けそう。」

そう言って椿木さんの解けかけているハチマキを立体的な蝶々結びに結び直してやれば、横で見ていた森田さんが「流石手芸部!」と言って感心していた。

出来上がったふんわりと広がった白いリボンは柔らかな髪質のポニーテールに可憐さをプラスする。

「…ん、可愛い。」

俺がそう言って笑顔を溢せば、椿木さんは「…ありがとう」と嬉しそうにはにかんだ。
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