I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「RIPSLYMEとかケツメイシとかは、女の子が踊るにはちょっとイカツイかなぁ…候補から外そう…あー、EXILEも盛り上がるか…あゆはすっごい好きだけど最近の歌だとちょっと暗いよね…うーん…」
綺麗に整頓された椿木さんの家のリビングルームの一角。
ダイニングテーブルには、俺の裁縫道具が広げられている一方で、反対側には椿木さんが並べた様々なアーティストのCDが広がっていた。
どうやら体育祭名物である女子のダンスの選曲を任されたらしい椿木さんは、顎に手を当てて首を傾げていた。
「ん~~~…くぅちゃんもアップテンポでキャッチーな感じでいいけど、やっぱりORANGERANGEは外せない気もするし…いや、女の子が躍るなら大塚愛もやっぱり可愛いし……え~~~~~、どうしようタカちゃん!困った、決められない!」
そう言って頭を抱える椿木さんの視線の先には、倖田來未、浜崎あゆみ、ORANGERANGE、EXILE、大塚愛などのアルバムが並んでいた。
困ったようにこちらに意見を求める椿木さんの姿に、俺は作業していた手を一旦止めると、CDのジャケットを眺める。
「…んー、俺的にはORANGERANGE流れたらテンション上がるけど、ダンスにすんの難しそうだな。」
「そうなんだよね~…」
「凛子ちゃん、プリキュアは?!」「プリキュア!」
暫く2人であーだこーだ意見を交わしていれば、TVで最近はまっている美少女戦隊系アニメを見ていたルナとマナがED映像を指さしながらこちらにやってきた。
「ハハッ、プリキュアは小学校のダンスではいいかもしんねぇけど、流石に中学のダンスじゃきついだろ~。男がウケ狙いでやるならともかく。」
「えー、なんで?プリキュア、強くて可愛いよ?!」「ダメ???」
俺はそんなことを言って口を尖らせるルナとマナの頭を撫でてやると、片隅に置かれていた一枚のCDを手にとった。
「…お、コレいいじゃん。MVもチアダンスっぽい感じだし。」
「お?!MICKEY?!ゴリエかいいね!!!全体曲にいいかも!!!」
そうして、ゴリエのCDを手渡せば、瞳を輝かせた椿木さん。
そんな楽しそうな椿木さんの笑顔を見ていれば、ふと、ある考えが思い浮かんだ。