I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「…タカちゃんは?」
私がそう隣を見れば、「俺は、デザイナー。」と口を開いたタカちゃん。
「ルナとマナの服とかおもちゃとか作ってるうちに、裁縫すんの楽しくなってきて、服とか作る仕事がしたいなって思うようになってさ。」
私は、少し照れくさそうに頭をかきながらゆっくりとそう話すタカちゃんを見つめていた。
将来の夢を語るタカちゃんの瞳はキラキラと輝いていて、それはそれは優しい瞳をしていた。
優しくて温かくて、私が大好きな瞳。
「…そっかぁ…タカちゃんは、きっとすごいデザイナーさんになるよ!この前の浴衣、本当に凄かったもん!私、本当にあんなに感動したことないってくらい感動したもん!」
先日プレゼントしてもらった浴衣の美しさを思い出しながら、そう少し興奮気味に声をかければ、タカちゃんは「俺もそんな喜んでもらえて作った甲斐があってよかったよ。」と言ってまた照れたように笑った。
「………あ、じゃあさ!…もし将来、私がステージに上がるようなことがあったら、タカちゃんが私の衣装係になってよ。」
私が突然閃いた提案をタカちゃんに持ち掛ければ、タカちゃんは一瞬目を瞬かせた後で、眩しい笑顔で笑った。
「いいな、それ。椿木さんの初衣装は、絶ッ対ェ、俺が作るわ。」
「ふふっ、約束ね。」
花火を持っていない方の小指を差し出せば、「おう、約束する!」とタカちゃんの骨ばった小指が重なった。
2人の将来の夢が叶う頃、
タカちゃんの一番近いところで笑ってる女の子が私でありますように。
タカちゃんにはまだ言えないけど、それが何よりの私の夢だよ。
なんて、私は、タカちゃんの綺麗な顔を眺めながらそんなことを想った。
夏の終わり、
柔らかい輝きをたずさえた月明かりが、まるで2人の約束を祝福するように煌々と2人の姿を照らしていた。