第3章 出会い
「あ!沖矢さん!みるくです。お久しぶりです。」
沖矢「あぁ、みるくさん。お久しぶりですね。どうされました?」
と笑顔を向けられる。目が笑っているようには見えなかった。
「さっきポアロでコナンくんたちに会って…」
さらっと先程の出来事を言うと沖矢さんは納得してくれたように頷いた。
沖矢「哀ちゃんは奥で忙しそうなので私が手当をしましょうか?」
「いいんですか?」
沖矢「えぇ、もちろん。」
1度奥へ入り、また戻ってくる彼の手には救急箱があった。
沖矢「では腕を出していただけますか?」
「はーい。あ、結構気持ち悪いと思うんですけど大丈夫ですか?」
沖矢「えぇ。」
その返事を聞いてから腕をまくる。
何年か前に見せた傷は残ったまま、痛々しいそれは増えていた。
コナン「これ、誰からなの?」
そう聞いてくる声は小学生のものではなく、明らかに高校生の工藤くんのものだった。
「大したことじゃないからそんなこと気にしないで。」
安室さんはその傷から目を離さず、沖矢さんは黙って昨日付けられたばかりの傷の手当をしてくれる。
コナン「ねぇ、誰からなの?こんなの普通じゃ…」
安室「コナンくん!」
高校生とはいえ、ちゃんと子供だな。
「普通じゃないかもしれないけど私にとっての普通はこれだから。君が思っているより世間は広いんだよ。幸せは普通のものじゃない。まぁ私は不幸なわけじゃないけどね。」
哀「安室さんが声を荒らげるなんて珍しいわね。」
スっと出てきたのは小学生ではなさそうな女の子。
しかしそれを隠す気はないようにも思えた。
安室「ごめんね、お邪魔してます。今日はこちらのみるくさんの付き添いできたんだ。」
哀「そう。」
「来栖 みるくです。よろしくね、哀ちゃん。」
哀「えぇ。…私たち、どこかで会ったことないかしら?」
「どうだろう?私、記憶するの苦手でさだから。でも…」
そっと近づいて彼女の耳元に囁く。
「哀ちゃんにはやっぱり白が似合うね。」
哀「え?!」
「その服可愛い!似合ってるよ!」
哀「…ありがとう。」