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あなたとの約束

第3章 出会い


ー哀ー

『あなたは黒より白の方が似合うよ。』


私が組織から逃げ出すときに助けてくれた女性が言った言葉だ。
彼女の顔は思い出せない。コードネームも知らない。
その話は誰にも言っていない。

なのに

なぜその言葉をあなたが同じ声で言うの?
あなたは何者なの…?



コナン「おーい、灰原。どうした?」

哀「っごめんなさい。なんでもないわ。ねぇ、その腕の傷はどうしたの?」



沖矢さんに手当されている腕には見ていられないほどの大量の傷があった。



哀「腕だけじゃないでしょ。私がするから来て。」

沖矢「…その方がいいかもしれないですね。」



黙って奥に入る私のあとを素直に着いてくる。



哀「ほら、服脱いで。」

「手当もしてくれるの?」

哀「そのためにこっちに来たのよ。聞きたいこともあったけど。」

「優しいね。」

哀「普通よ。…あなたは組織の人間よね?」

「そうだね。」

哀「あなたのコードネームは?」

「外の人間に教える気はないよ。」



彼女は何を聞かれても笑顔を崩さない。
その笑顔は年相応で、身体中にある傷も彼女からする危険な香りも消してしまうようだった。



哀「あのとき、何故私を助けたの?」

「シェリーちゃんを助けるって明美に言っちゃったの。」

哀「お姉ちゃんに?」

「えぇ。」

哀「あなたの目的は何?」

「内緒。言ったって仕方ないもの。安心して。あなたが邪魔しない限り、私は敵にならないよ。」

哀「そう。」



棚からゆっくり音を立てないように注射器を取り出し、無防備な彼女の背中に当てる。



哀「教えてくれないかしら?」

「あなた、凄い勇気ね。私が元のあなたより年下だからって油断した?組織で何故私の存在が隠されているのか気にならなかった?私が無防備に見えたからってあなたは私より上にはなれない。」



彼女はこちらを振り返る。手が震えてきて持っていた注射器をするりと奪われる。



「上下関係しっかりさせた方がいいかな?」



ふわりと彼女の冷たい手が私の頬に伸びてくる。
えへへと笑う彼女は冷たく恐ろしかった。
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