第2章 始まり
零「天使でしたか。そんなことあるんですね。そいつは、ヒロは幸せそうでしたか?」
「えぇ、もちろん。笑顔でこっちに来ましたよ。あなたのほかの友人と一緒に楽しくしてらっしゃいます。」
零「そうか、それはよかった。」
そう言う彼の頬に一筋、涙の道ができた。
「これ、差し上げます。」
白いハンカチを差し出すと、彼はまた微笑んだ。
零「天使はハンカチまで真っ白なんですね。」
「そうですね。天使ですから。」
零「僕、殺したいほど憎んでいる相手がいるんです。」
「そうなんですね。」
零「止めないんですか?」
「いいと思いますよ。」
率直な感想を述べると彼は目をぱちくりさせた。
零「天使ってそういうのはよくないって言うものじゃありませんか?」
「そういう天使もいるかもしれません。ですが、あなたがその想いを持つことで生きられるならいいんじゃないですかね。」
零「勢い余って殺すかもしれませんよ?」
「その時は私が止めます。あなたの事を頼まれてますから。」
零「そう、ですか。」
彼の涙は次第に止まっていった。
「涙が落ち着いたようなので一旦さよならですね。」
零「また、会えますか?」
「えぇ、あなたが私を本当に必要としたときに。」