火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第9章 新しい出会い
最終選別の日の朝。
ふみのは、不思議な体験をした。
ふみのは、朝日が昇ったとの同時に、目が覚めた。
でも何故、朝日が昇った瞬間だと分かったのだろう。
朝日を実際に見たわけではないのに。
そこは、そこはいつもの自分の部屋だった。
まだ、昇ったばかりの陽光が
うすく部屋に差し込んでいた。
夢だったのか。
でも実際に見たかのような、
朝の冷たい空気が鼻腔を通る感覚も、
鮮明に残っていた。
遠い記憶の、
でもたった今感じていたかのような。
ふみのはゆっくりと体を起こした。
「杏寿郎、千寿郎くん。
それでは行ってきます」
杏寿郎と千寿郎は
ふみのを門で見送っていた。
「ふみのお姉様、お気をつけて。
どうか、どうかご無事で…っ」
「ありがとう、千寿郎くん!」
千寿郎は小さくふみのへ微笑んだ。
ふみのは杏寿郎を見ると、
ただじっと、見つめられた。
「杏寿郎、行ってきます。
今まで教えてくれたこと、全部出し切って…」
ふわっと体が杏寿郎の方へ引き寄せられる。
ふみのは杏寿郎に抱きしめられていた。
「きょ、杏寿郎…!?」
(と、隣に、千寿郎もいるのに…っ!)
ふみのは、どんどん顔が熱くなる。
杏寿郎はふみのの肩に顔を埋めた。
ふみのの背中に回された
杏寿郎の腕に、ぎゅっと力が込められる。
ふみのは恥ずかしさで
どうにかなってしまいそうだった。
「…っ杏寿郎…?」
もう一度、ふみのは杏寿郎を呼ぶ。
「…絶対に、戻ってきてくれ…っ!」
「…っ!」
杏寿郎は更にきつく
ふみのを抱きしめる。