火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第9章 新しい出会い
「これは…?」
「これは俺の誕生月に母上がくれたお守りだ!
受け取って欲しい!」
「そんな大切なもの、もらえないわ!
瑠火様が杏寿郎のために、渡したものだもの…」
「だからこそ持っていて欲しい!
俺も最終選別にはこれを持って行った!
きっと母上がふみのを見守ってくれる!」
杏寿郎は、ふみのの掌に
ぽんとお守り袋をのせた。
「…ありがとう。本当にありがとう。
私、最終選別、頑張るね…!」
「ああ。
ふみの、必ず戻ると約束してくれ」
「うん。必ず、戻ります。
必ず、ここに戻ってきます」
「約束だ」
杏寿郎は小指を差し出し、
ふみのも自分の小指を絡める。
「うん、約束。
この間と、反対だね」
「本当だな、今回俺が、送りだず番だ。
ふみのも、こんな気持ちだったのだな…」
「そうよ!とーっても心配していたのよ?」
ふみのは困ったように
杏寿郎に笑ってみせた。
「…いつも俺は ふみのに
心配ばかりさせているな」
「心配はしているけど…、
でも、私は杏寿郎を信じているから!
きっと大丈夫って!」
ふみのが笑かけてくれるたび
杏寿郎はふみのに惹かれていく。
「ありがとう。
ふみのがいると、本当に心強い。
どんなことも乗り越えられると、勇気が湧いてくる」
「杏寿郎、それは私も同じよ!」
ビュゥッ
「きゃっ」
突然、柔い風が二人に吹いた。