火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第8章 呪われた呼吸
ギィンッッ
両者の刀は、全く逆の方向に上下に振りかざされ、
杏寿郎の刃は中央部分から折れていた。
折れた刃はキンと音を立てて、地面に落ちた。
ふみのと杏寿郎は
目を合わせながら肩で息をしていた。
「…お、折れた…っ」
「ふみの、見事だったぞ!」
ふみのは達成感と安堵の気持ちに
涙が溢れ出していた。
杏寿郎は安心したように微笑みながら
ふみのの頭を優しく撫で、
涙をそっと拭ってくれた。
「ふみの。
よく、ここまで、頑張ったな。
辛いこともあっただろう。
でもふみのはきっと、強い剣士になれる」
「ううん、ここまでこれたのは
今まで杏寿郎が稽古をしてくれたお陰だよ。
本当に、本当にありがとう…っ。
……、最終選別を…受けてもいいの…?」
「…ああ、でも鍛錬は稽古は直前まで行う。
最後までしっかりふみのを鍛える!」
「うん!ありがとう!
残りの時間も頑張るね!
よろしくお願いします!」
嬉しそうにふみのは笑った。
杏寿郎は心配もあったが、
ここまでのふみのの成果を見て
ふみのを信じ、最終選別に送り出そうと決めた。
ふみのは真剣の精度も徐々に上げていき、
前集中の呼吸も少しずつではあるが取得しつつあった。
最終選別までの残り三ヶ月と少し。
ふみのは杏寿郎と
一日一日を丁寧に、
鍛錬へと費やしていった。