火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第8章 呪われた呼吸
ふみのと杏寿郎の息遣いが聞こえそうなほど、
あたりには静寂が満ちる。
「来い!!!ふみの!!!」
「はああっっ!!!!!」
ガンッッッ
二人の刀が激しく打つかる。
じりじりと、どちらも譲らない。
「ふみの!!
同じやり口では意味がないぞ!!」
「……っくっ…」
(杏寿郎は全身で力を当ててくる…っ。
自分はそこまでの力はない…っ。
なら、この力を利用するのみ!!)
ふみのは杏寿郎の刀を振り払い、
ザッと後ろに下がった。
(息はそこまで上がっていない…っ。
落ち着いて、大丈夫。
今まで杏寿郎が教えてくれたことを思い出して。
大丈夫。大丈夫。
私はきっとできる…っ!)
「杏寿郎!!私は斬る!!鬼の頚を!!」
「来い!!!」
両者が勢いよく走り出す。
杏寿郎は刀を下げ、上に振り上げた。
「炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天!!」
(刀を下から……っ?!それなら…っ!!)
炎がふみのに向かってくる。
「光の呼吸 壱ノ型 翠光!!」
ふみのの閃光が杏寿郎の炎を掻き切った。
放たれた眩い光に、杏寿郎は目を眩ませる。
(まずい、視界が……っ!!)
杏寿郎が眩しさに目を細めていると
光が消えた瞬間に、ふみのが目の前に現れる。
(今だっ!!!)
(!!! 木刀に、当たれ…っ!!!)
ふみのは、杏寿郎の刀が
自分に降りかかってくるのと同時に
その刃を目掛けて、木刀を下から振り上げた。