火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第2章 一族の破滅
みちは少し俯いた後、顔を上げ、ふみのを見た。
何か聞いてないけないことを聞いてしまったと
ふみのの心臓は酷く鳴っていたが、
これは放っておいてはいけないことだと直感で感じていた。
みちも真剣な表情になり、
すう、と息を吸うとふみのに話しかけた。
「分かりました。ふみのも大きくなっているのですね。
母は嬉しく思います。
少し難しい話しかもしれませんが、
ふみのにお話する時なのかもしれません。
とうさまともいつふみのに伝えるかを考えていました」
ふみのはごくりと息を飲んだ。
みちは、奥の部屋に行きましょうと
ふみのの手を引いて部屋に向かった。
向かい合わせに正座で座り、
ふみのは緊張していた。
少し間を置いて、みちは話し出す。
「一ノ宮家は、私達がいる本家と分家に分かれています。
もともと本家と分家は仲が良くなく
随分前から常に対立するような関係になっていたようです。
今まで当主は、本家の男児に継承されてきました。
今回であれば、健一郎ですが、先に生まれた徳廣さんにすべきではと、
分家より強い主張がありました。
また数百年ぶりの男児の誕生で、当主が分家になることを期待していたのでしょう。
しかし当主の座を分家に取られたくない本家の一部からは
女性のふみのにも権利があってもいいのではと
話しが上がり始めました。
しかし分家からは、女性のふみのに
当主は望ましくないと言い張りました。
ですが、ふみのは徳廣さんより一月早く生まれているので、
当主に相応しいのはふみのではないかと
本家もその座を譲らせまいと頑なになっていました。
今回は継承の儀式も近いことから、事が大きくなってしまったようです」
ふみのは今までそんなことが起きているとも知らず、
みちが話す内容についていけずに心臓が大きく鳴っている。
変な汗が吹き出して止まらない。
目の前がぐらぐらする。
そんなふみのをみちは優しく、でも強くしっかりと抱きしめた。
「ふみの、辛い話をしてしまい、ごめんなさい。
聞いていて苦しかったでしょう。本当にごめんなさい」
みちの声は涙声だった。
みちも不安で怖かったのだ。