火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第8章 呪われた呼吸
しばらく沈黙が続いた。
切り出したのは槇寿郎だった。
「なぜ、あの本を見つけた…?」
「えっ、あ、あの、瞑想をしていたら、
いつもと違う感覚になり…。
それで刀を振るったら、
今まで見たことのない光が現れて、
何かの呼吸なのではと思い、調べようと…」
「それで俺の部屋に来たのだな」
「ほ、本当に、ごめんなさい…っ」
ふみのは再度、頭を深く下げた。
「…光の呼吸は、誰もが使えるものではない。
俺は今までに、その呼吸を使える隊士を
二人しか見たことがない。
女性にしか使えず、
継承していくこともできない」
(やっぱり、本の通りなんだ…)
すると槇寿郎は振り返り、
ふみのを見る。
「脅すつもりは決してないが…、
その呼吸を使った隊士は皆、命を落としている…」
(………え…?)
「それについて、何も明確な事由はないが、
昔から、そう言われている。
どのように派生して生まれた
呼吸なのかも分かっておらず、
なぜ女性だけなのか、受け継ぐこともできないのか、
全く知られていない」
ふみのは心臓がばくばくと鳴り響き、
背筋に汗が伝った。
(一体、どういう………っ)
「何も手がかりもなく、
唯一残っているのがあの本だ。
いつ、誰が書いたのか、それすらも分からない。
…何故か、この煉獄家に昔から置かれているが、
理由も分からない」
「命を落としているというのは…、
鬼を退治している、最中に、ですか…?」
「それもはっきりと分かってはいないが、
俺が見た一人の隊士は型を出す寸前に倒れ、
そのまま亡くなった。
もう一人の隊士も任務中にと聞いている。
死因もはっきり分かっていない…。
……光の呼吸は、
別名“呪われた呼吸"とも言われていた…」
(呪われた、呼吸────……?!)