火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第8章 呪われた呼吸
すると杏寿郎は、
可笑しそうに声をあげて笑った。
「そうだったのか!
ふみのがそのようなことをするとは予想外だった!」
「…本当にごめんなさい。
槇寿郎様には、すぐお返しにいくつもりでいたのに、
こんなに時間が経ってしまって…」
「笑ってすまなかった!
俺も幼い頃に、
ふみのと同じことをしていたのを思い出してな!
しかも大層大事な本だったらしく、
父上に怒られてしまった!」
「そうなの!?杏寿郎にもそんなことがあったのね…っ」
「ああ、文字もまだ読めないのにな!
懐かしいな…」
今はもう見ることのない
炎柱の槇寿郎を思い出しているのか
少し寂しそうにする杏寿郎を見て、
ふみのは胸が痛んだ。
「杏寿郎、明日、
槇寿郎様のところに行って謝ってくるわ…!
…あと、最終選別を受けることも
お伝えしてみようと思う」
「…そうか。きっと父上は、
鬼殺隊に入ることをあまり良く思っていない。
きっと何か言われてしまうと思う。
俺も同席しても構わないだろうか」
「そう…。でも、大丈夫よ。
槇寿郎様に助けていただいたことがきっかけで
鬼殺隊に入ろうと思たこと、
ちゃんと伝えてみる。
杏寿郎、ありがとうね」
「ああ、分かった。
そうしたら明日の稽古は午後からにしよう!」
「うん!明日もよろしくお願いします。
そうしたら今日はもう寝ようかな。
杏寿郎、いつも色々教えてくれてありがとう」
「俺も楽しくて、つい沢山話してしまった!
ではまた明日。
ふみの、お休み」
「うん、また明日ね。
お休みなさい」
ふみのは杏寿郎の部屋から出ると、
槇寿郎の部屋の方を見た。
(明日、槇寿郎様にちゃんと謝らなくちゃ…)
ふみのは自室へと戻っていった。